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職場での「指導」と「ハラスメント」の境界線は難しいもの。上司からすれば真摯な指導だと思っている言動も、周囲からはパワハラとして厳しく捉えられることもあります。ただし今回の話に出てくる“指導”は、明らかに職場に悪影響を及ぼすレベル。建設業界で働く知人Mさんの職場で起きた事件をご紹介します。

声が大きすぎる体育会系支店長

知人Mさんが勤める建設関係の会社には、体育会系で熱血タイプの支店長がいました。年配の男性でエネルギッシュなのですが、問題はその気性の激しさ。少しでも気に入らないことがあると、大声で怒鳴り散らすのです。

支店内は仕切りも少なくオープンなつくりのため、誰が怒られているか、何について怒られているかが社内中に筒抜け。電話中の社員は相手の声が聞き取れず、商談中の人も思わず手を止めてしまうほどでした。

人前での長時間の怒鳴り

ある日、支店長の怒鳴り声がひときわ大きく響き渡りました。対象となったのは、支店内でも実力のあるベテラン社員。理由は驚くほど些細なもので、「お客様からの電話を1回で取れなかったこと」でした。

電話をすぐに取れないことなんて、誰にでもあります。別の対応中で手がふさがっていることもあれば、タイミングが合わないことだってある。仮に出られなかったとしても、折り返しをすれば済む話です。

それにもかかわらず、支店長は執務フロアのど真ん中で20分近くも「だからお前はだめなんだ!」「社会人として失格だ!」と繰り返し怒鳴り続けたのです。職場の全員がその声を耳にし、誰もが仕事に集中できない状態に。怒鳴られている本人は萎縮して顔を伏せるしかなく、完全にハラスメントそのものでした。

まさかの社長からの電話

そんな中、近くにいた総務課長の携帯が鳴ります。画面に表示されたのは「社長」の文字。慌てて通話ボタンを押すと、支店長の怒鳴り声が社長の耳に届きました。

社長はすぐに声を低くしてこう言ったそうです。

「今の声は誰だ? 取引先にも聞こえてしまっているぞ。人前で部下を大声で叱るのは指導ではなくハラスメントだ」

赤っ恥をかいた支店長と職場の安堵

後日、支店長は社長から直々に呼び出され、「取引先に不快な印象を与えている」「怒鳴り声が職場の業務を妨害している」「人前で大声で叱責するのはパワハラにあたる」と具体的に注意を受けたそうです。

それ以降、支店長の態度は一変。怒鳴り声はなくなり、職場には静かな空気が戻りました。Mさんを含めた社員たちは、心の中で「やっと平和になった」と拍手喝采。長年のモヤモヤが一気に晴れた瞬間だったといいます。

【体験者:20代・会社員、回答時期:2024年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

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