~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~
今回は、私が出版社で勤務していた時代のお話です。その日はとあるセミナーがあり、私はそのお手伝いで会場入りしていました。しかし、その日は本番前から機材トラブルの連続。受付係を任されていた私は、いつしか“PCまわりの当番”になってしまって……?

開場前から始まるPCトラブルの嵐

私はその日、セミナー会場に「受付係」として配属されていました。参加者はほぼ全員シニア層で、講師の先生も年齢は非公開ですが、おそらくは昭和初期のお生まれという雰囲気。ゆったりした時間が流れそうだな……と思っていたのですが、現実は真逆でした。

「ねぇ、これ、どこに挿すんだっけ?」
「スイッチ、入れたはずなんだけど、画面が真っ黒なのよ」

開場前の準備段階から、講師のPCまわりはすでに軽くカオス状態。私は横で受付用の名簿を整えていたのですが、なぜか誰よりも詳しそうに見えたらしく、いつのまにか「PCまわり担当」に。「まぁ、リハーサルだけ付き合えばいいか」と思っていたら、講師が出してきたのは、まさかの骨董品レベルのノートPC。どこか懐かしさすら漂うフォルムです。

心の中で「これ……動くのかな」とつぶやきつつも、なんとかスライドの動作確認まで完了。

「先生、バッチリ動きましたね!」「ほう、それはよかった!」
そう話したものの、よかったのはここまででした。

本番、Enterキーで訪れた悪夢

セミナー本番。講師が「では、こちらをご覧ください」と言ってEnterキーを押した瞬間、PCが……うんともすんともいわないではありませんか。

画面は真っ暗、カーソルも消え、会場に不穏な空気が流れます。何度か再起動も試みましたが、PCはまるで「もう今日は働きません」と言わんばかりに完全無視。

電源コードを抜き差ししてみたり、バッテリーを外してみたり、ケーブルの接続を確認してみたりと、思いつく限りの対応を試みましたが、動かず……。その間に会場の視線がじわじわと私に集まり始めました。

ピンチを凌いだ救世主は……

そのとき、ふと思い出しました。「そうだ、自分のPCを持ってきてたんだった!」

まさかの事態に備えて……というわけではなく、単純に「午後に作業でもするか」と思って荷物に入れていただけの私物のノートPC。ただ、今ここで輝くのは、まさにあの1台です。私は大急ぎでバッグを開け、「先生、もしよかったら、私のPCを使いませんか?」と提案しました。

講師は一瞬キョトンとしたあと、「よし! それでいこう!」

あまりの勢いに笑いそうになりながらも、USBメモリでデータを移し、プロジェクターに接続。なんとかセミナーを再スタートさせることができました。

予想外の展開に冷や汗! それでも予備は偉大だった

終了後、講師に深々とお辞儀をされました。
「いや、今日は本当に助かりました。これが、いわゆるデジタルネイティブというやつかねぇ」

私は「いえ、たまたまです」と頭を下げましたが、内心では「もし自分がPCを持ってきてなかったら、今ごろどうなってたんだ……」と思っていました。

受付係から始まり、周辺機器担当、そして最終的には「救世主」扱いまでされたこの日。予想外の展開に冷や汗をかきながらも、「予備を持っておくのは、頼もしいな」としみじみ感じた一件でした。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

This article is a sponsored article by
''.