店の駐車場はお祭りの特等席
地元のお祭りの日。私は家族や妹たちと一緒に、私が営む美容室の前で山車の運行を見ようと準備していました。お店の前の駐車場はちょうど通りに面していて、お祭りを見るには絶好のスポットなのです。
夕方、山車が通り始めたころ、息子の同級生とそのママ・夏美さん(仮名)がやってきました。夏美さんは普段から会話の端々にマウントや過保護ぶりが感じられる人で、私は正直なところ少々苦手な存在でした。
同級生ママの“お願い”に困惑するも……
夏美さんは私たちの前に来るなり、「ねえ、お店に冷蔵庫ある?」と聞いてきました。
「ありますけど……?」と答えると、「これ冷やしといてくれる? 悪くなったら困るし」と、夏美さんがお祭りの屋台で買ったらしき袋を手渡してきたのです。
あまりに当然のように言われて私も妹も思わず顔を見合わせましたが、断る理由も見つからず、仕方なく店内の冷蔵庫に入れに行きました。
家族のために用意した椅子まで……
店の外に戻るとさらに驚きの事態が。なんと夏美さんは、私たちが家族用に用意していた予備の椅子に座っていたのです。
「ここ、家族で使うつもりだったんです」と伝えても、「余ってるじゃない。いいでしょ?」と動く気配なし。モヤモヤしつつ、私はもはや諦めつつありました。
そこへ、お祭りに参加していた私の友人のアキちゃん(仮名)が店に立ち寄ってきました。
友人が状況を見てピシャリ!
アキちゃんは夏美さんを見るなり、「あれ? 夏美さん、◯◯さん(私のこと)と親戚だったんだ?」と一言。夏美さんとアキちゃんはスポ少関係で知り合いだったことは以前聞いていました。
「え? 親戚じゃないけど」と答える夏美さんに、アキちゃんは続けてこう告げたのです。
「えっ、それじゃ他人の敷地で見てるってこと? それって図々しくない?」
アキちゃんのピシャリ! という一言に、思わずスカッとした私。夏美さんは急に大人しくなり、冷蔵庫に入れていた袋を渡すと、お礼も言わずに子供を連れてそそくさと帰っていったのです。
人の優しさは当たり前ではない
アキちゃんは笑いながら「よく我慢してたね。私だったら無理だわ〜」と呟き、お祭りの列に戻っていきました。
他人の好意は、当たり前ではなくありがたいもの。そんな人の優しさにあぐらをかくと、思わぬところで恥をかくのだと気づかされた出来事でした。
私自身も、アキちゃんのような人に頼るばかりではいられません。今後同じような状況に遭遇したらきっぱり断る勇気を持とうと思います。
【体験者:40代・女性自営業、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。