思いつきのドライブで向かった先
普段から不思議なものを感じることの多い私たち家族は、軽々しく心霊スポットのような場所に行ってはいけないということは常日頃から理解していました。
それなのに、でした。その日母からドライブに誘われた私は、なぜかふと「近くにある心霊スポットに行ってみない? 昼間だし大丈夫でしょ」と提案したのです。
いつもなら「やめておきなさい」と止める母も、その時はどういうわけか「良いね、スリルを味わえるかも」とノリノリ。念のため、お守りを持ってドライブへ出かけました。
違和感を覚える程度
最初に訪れたのは、地元でも有名な橋。自殺の名所として知られる場所です。橋の次には、通称“お化けトンネル”と呼ばれる古いトンネルにも立ち寄りました。
どちらも昼間だったこともあり、さほど怖さは感じませんでした。橋の上を歩いていると欄干に引き寄せられる感覚があったり、トンネルに入ったあたりで妙に空気が冷たくなったりという違和感はあったけれど、それでも私も母も「まぁ、こんなもんだよね」と笑って済ませたのです。
異変が起きたのはまさかの
ところがその夜のこと。姉の夫の親戚が突然体調を崩し、救急車で運ばれてしまったのです。
幸いにも大事には至らず、すぐに回復したのですが、姉自身もその数日後から体調不良により寝込むことに。タイミングが重なったことが気になり「もしかして、あの日の心霊スポットの影響?」と思ったけれど、私や母はなんともないのです。
祖母と住職からの言葉
私は不安になり、祖母にその日の出来事を話すと、ひどく叱られました。
深くため息をついた祖母から告げられたのは「お守りを持っていたから、あんたたちにはなにも起きなかった。でも、周りの人に影響が出てしまったんだ」という言葉。さらに続けて「心霊スポットに行こうと思ってしまったのも、見えないなにかに導かれたんだろうね」とも。
その後、お寺で相談した住職にも「あなた方は特に心霊スポットに近づかない方がいい。自分を守る力が強い分、はね返って周りに影響してしまうから」と忠告を受けました。お経を読んでもらうと、姉もすぐに回復。私と母はホッと胸をなでおろしました。
軽い気持ちで踏み入れてはいけない場所
怖いもの見たさは誰にでもあるけれど、知らず知らずのうちに“見えない世界”に足を踏み入れてしまうこともあるのです。心霊スポットというのは、ただの噂話ではなく、慎重に扱うべき場所なのだと、改めて強く感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。