友人からの突然の誘い
ある日のこと。高校時代の友人、みおさん(仮名)から「お願い、一緒に来てくれない?」というLINEが届きました。
彼女は当時、既婚男性と関係を持っていました。苦しく不安定な状況にあることは私も理解していましたが、彼女はもう引き返せないところにいたようなのです。
「占いに行こうと思うの。最近、息苦しくて変な夢ばかり見るの……」と真剣な顔で話すみおさんに誘われ、私は占いに付き添うことに。
重く沈む空気の中で告げられた“生霊”の存在
場所は駅から少し離れた雑居ビルの一室。入った瞬間、重く沈んだ空気の感触がしました。
出てきたのは40代くらいの女性占い師。みおさんの名前や生年月日を聞き、カードを静かに広げる様子を隣で見守っていました。やがて占い師の動きが止まります。
「……ごめんなさい。急に頭のズキズキが強くなってしまって……」占い師は額を押さえたまま沈黙。やがて顔を上げて言いました。「これは生霊よ。すごく強い念を感じる」
思わずみおさんに視線を向けると、彼女の顔色は真っ青に変わり、完全に力を失っていました。占い師が「心当たりはありますか?」と尋ねると、しばらくの沈黙のあと、みおさんは小さくうなずきました。そして、「彼には奥さんがいます。たぶん、まだバレていないと思いますが……」と小さな声でつぶやきました。
すると占い師は「奥さんは気づいています。あなたの顔や名前が奥さんの頭に焼き付いていて、怒りがそのままあなたに飛んできています。それが苦しさの原因になっている」と。私もただ聞いているだけなのに、背中にじっとりと汗を感じました。
占い師からの驚きの忠告と塩まきのおまじない
占い師から最後に忠告がありました。
「このままだと自分が自分でなくなる恐れがあります。とにかく、早く離れること」
さらに塩を包んだ白い紙を手渡され、「帰ったら必ず玄関にまいてください。付いてきたあなたもね」占い師から目を向けられた私はその一言に驚き、ゾッとしたのを今でも覚えています。
それから1ヶ月後、みおさんはその関係を終わらせました。「やっぱり、どこかで許されないと思っていた自分がいたんだよね。占いに行ってよかった!」そう笑った彼女の目には、ようやく少し光が戻っていました。
未来予測を超えて、心の現在地を示す占い
振り返れば、占い師が見ていたのは未来ではなく、みおさんの抱える罪悪感や苦しみの表れだったのかもしれません。占いとはただ当てるものではなく、気づきを与える道しるべでもあるのかもしれない。そう感じた体験でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2022年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。