何でも話せるママ友
ママ友の麻衣(仮名)は、私にとって数少ない何でも話せるママ友でした。子どもが同い年ということもあり、家族ぐるみでバーベキューをしたり、2人で飲みに行っては旦那の愚痴を言い合ったり。ある日、麻衣から「実はこの前のPTA活動がきっかけで、太一君(仮名)のお父さんと意気投合しちゃって。今度2人で会おうって誘われたんだ」と笑顔で打ち明けられたのです。さすがにまずいと思い、「やめた方がいいよ」と伝えたけれど、麻衣はあっけらかんとして「うちは旦那と冷め切ってるし、ちょっと刺激になっていいかと思ったのに。とりあえず、今の話は内緒ね」と。心配でしたが、ひとまず私は見守ることにしました。
耳に入ってきた噂話
それからしばらくして、あちこちから麻衣に関する噂が耳に入ってくるように。「太一君のパパと不倫してるらしいよ」「毎晩違う男と飲み歩いてるって」「慰謝料で揉めて裁判になってるみたい」最初は信じたくなかったけれど、あまりにも具体的な話しばかりで、さすがに放っておけませんでした。そんな時、麻衣から「相談したいことがある」と連絡が。
気まずさと告白
会いに行くと、麻衣は思いつめたような顔でこう言いました。「どうしよう、全部バレちゃった。誰にも言ってないのに、誰が話したんだろう……。ねぇ、本当に言ってない?」私を疑っているような目。少し悲しくなりましたが、静かに「私じゃないよ」と伝えました。「それで……全部ホントのことなの?」小さくうなずいた麻衣からは、太一君のパパだけでなく、別の既婚男性とも関係があったこと、そしてその件が原因で現在裁判中だという話まで飛び出したのです。
最後に伝えた想い
私は正直、言葉を失いました。けれど、言わなければならない。「これだけ噂が広がってたら、子ども達の耳にも入っちゃうかもしれない。そうなったら、一番つらいのは子どもだよ。もっと子ども達の影響も考えて行動しなきゃ!」強く静かに伝えると、麻衣はしばらく黙ったあと、「うん、ちゃんと考える」と小さく呟きました。
今も続く視線の中で
その後も、麻衣に関する噂はすぐには消えませんでした。学校行事では、今もどこかで聞こえてくるヒソヒソ声。けれど、私は以前と変わらず麻衣に接しています。誰だって間違えることはある。大事なのは、その後どう向き合うかだと思います。私はそれを、彼女の姿から学んでいるのかも知れません。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。