夫と一緒にお悔やみへ
私は昔から不思議な体験をすることが多く、実家の家族も”見える”体質の人が多いです。そんな私が体験した、今でも思い出すと背筋が凍る出来事があります。
ある日、夫の親戚に不幸があり、夫と一緒にお悔やみに行きました。亡くなったのはまだ50代の男性。癌の進行がとても早く、苦しんで亡くなったそうです。棺に納められた顔には、唇を嚙みしめた跡が残っていたのが印象的でした。
強い眠気に誘われた夜
帰宅してからは、いつも通り家事をこなし、5歳の娘を寝かしつけると、夫も先に寝室へ。私はいつもなら夜更かしするのに、その日に限って強い眠気が襲ってきました。そこで少し早いけれど、娘の布団へ入って眠ることにしたのです。
どれくらい寝たのか分かりませんが、ふと壁側に誰かの気配を感じて目を覚ましました。最初は娘だろうと思ったのですが、娘は反対側に寝ています。「あれ?」と思った瞬間、全身に鳥肌が立ちました。
いるはずのない存在
おそるおそる壁側に顔を向けると、青白い顔の男性が、こちらをじっと睨んでいたのです。あまりの恐怖に声も出ず、体も動かなくなりました。目が合ったまま、金縛りにかかったように硬直した私を、その男性はゆっくりと起き上がって見下ろしてきました。(誰か、助けて!)力いっぱい叫んでも、声は出ません。その時、不意に娘が「お母さん、トイレ〜」と寝ぼけた声で起き上がりました。その瞬間、金縛りは解け、男性の姿もパッと消えたのです。私は恐怖で心臓がバクバクし、その夜はもう眠れませんでした。
告げられた真実
翌日、馴染みのお寺に話をしに行くと、住職さんが私の顔を見るなり言いました。「最近、近くで亡くなった男性、いませんでしたか? その人ですね」と。私はハッとしました。昨日お悔やみに行ったあの男性と、昨夜見た顔はそっくりだったのです。住職にお経をあげてもらってからは、その姿を見ることはありませんでした。けれど、あの目、あの冷たい視線は、今でも忘れられません……。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。