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いつか訪れる退職や転職、新しい門出。いなくなって初めて気づく、その人の大切さ。今回は、筆者が出版社時代に出会った、人とのつながり、そして居場所の大切さを感じるエピソードを紹介します。

奥村さん、退職の日

出版社で働いていた頃の話です。

営業一筋、約30年にわたって会社に尽くしてきた、まさに功労者と呼ぶにふさわしい奥村さん(仮名)が、退職の日を迎えました。

奥村さんのもとには多くの社員や取引先が集まりました。これも長年培ってきた信頼と人望ゆえ。惜しみない拍手と感謝の言葉で、最後の出勤を終えた奥村さんを送り出しました。

送別会は涙と笑いに包まれ、まるで家族の一員を見送るような温かい時間でした。奥村さんがいなくなることへの寂しさを誰もが感じつつも、新たな人生の門出を心から祝福したのです。

いつでもそこにいる存在

退職後も奥村さんは時折会社に顔を出しては、若手社員に声をかけたり昔話に花を咲かせたりしていました。

「また戻ってきてくれたらいいのにね」「そうだね。あの人がいないと寂しいよ」

そんな会話が、社内のあちこちで自然に交わされていました。奥村さんの存在が、社員たちにとって大きな支えになっていたのです。

まさかの復帰宣言に社内大騒ぎ!

そんなある日、奥村さんが退職してからちょうど1年が経った頃のこと。社内に突然、彼がまた戻ってくるという噂が広まりました。

まだ正式な発表はないものの、新しいデスクが用意されているとの情報もあり、社員たちは驚きと期待でざわつき始めました。普段は静かなオフィスが、急に賑やかになる活気。奥村さん不在の間はどこか寂しかった社内の空気が、一気に明るくなりました。

「やっぱり居場所が恋しかったんだろうね」という冗談も飛び交い、自然と笑顔が広がる社内。こうして、まさかの早すぎる「爆速復帰」の噂に、みんながワクワクしながら、久しぶりの再会を心待ちにしたのでした。

戻るべき場所、そして居場所

数日後、噂どおり復帰した奥村さんが出社してきました。

「家でじっとしていられなくてね。やっぱり居場所はここだよ」その言葉ににじむ、安堵と誇らしさの混じった表情。「やっぱり、奥村さんがいると安心する」「そうだね、会社の空気が変わるよ」そんな声が自然と聞こえる職場の風景。

誰からも愛される奥村さんの存在は、会社にとってかけがえのない宝物。人は、必要とされる場所に戻ってくるものなのかもしれません。そんな「居場所」の温かさを、改めて実感した出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

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