~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~
食品を多く扱うスーパーにとって、賞味期限のチェックは欠かせません。もし期限切れ商品を販売してしまったら一大事です。一方で期限内の食品を販売したとしても、お買い上げ後の管理はお客様に任せるしかないのですが……。今回は筆者の友人が体験した、賞味期限にまつわるトホホなエピソードを紹介します。

時期が過ぎると割引に

スーパーで働く私たちにとって、お中元やお歳暮の時期は慌ただしい季節。大量に入荷するギフト商品も、中には売れ残ってしまうものもあります。特にお菓子の詰め合わせギフトは賞味期限も近いため、販売時期が過ぎると割引処分になることがよくあります。

夏の終わりに現れた買い占め女性

ある夏。半額シールが貼られたお菓子ギフトを、買い物カートいっぱいに詰め込む中年女性がレジに並びました。

私は「賞味期限が今月末までですが大丈夫ですか?」「期限が近いので、贈り物としてはご遠慮ください」と繰り返し案内したのですが、彼女は「大丈夫大丈夫。すぐに配るから!」と気にする様子もありません。さらに「割引シールが貼ってあるから、包装し直して」と依頼してきました。

スタッフ数人で再度ギフトの包装を行い、最後にもう一度「今月末までの賞味期限です」と念押し。その上で、女性は満足げに大量のギフトを持ち帰っていきました。

険しい表情で再来店した女性

それから約1か月後、その時の女性が険しい表情で再来店しました。

「あのギフト、賞味期限が切れてたわ! 親戚から“あなたは期限が切れたものを贈るんだね”なんて言われたのよ!」と見るからに怒り心頭。私はその時のやりとりをはっきり覚えていたため、「私が担当しましたが、賞味期限について何度も説明いたしました。お客様もご理解いただいたはずです」と伝えました。

ところが女性は、「そんなの聞いてない! 期限が切れたやつを売ったんでしょ!?」と、まるで初耳のような口ぶり。思わぬ言い分に戸惑ってしまいました。

記録と記憶が語る真実

このままでは埒が明かないと感じ、私は当日のレジ履歴やスタッフの証言を確認しました。結果、お買い上げの時点でギフトの賞味期限は切れておらず、レジ担当は私。しかも包装を手伝ってくれたスタッフも複数いて、みんなが状況を覚えてくれていたのです。

その証拠をもとに、「販売時点では賞味期限内でしたし、再三の確認も行っております」と丁寧に説明。女性はなおも「包装し直したから期限が分からなくなったのよ!」と言って引き下がりませんでしたが、そこでスタッフ全員が「割引シールが貼ってあるから包装し直すようお客様からお願いされ、私たちはそのようにしました」と同じ証言をしてくれたことが決定打となりました。

店側の落ち度でないことがわかったのか、女性は「……もういいです」とぼそっと言って、足早に店を後にしました。

ルールは、誰かを守るために

この出来事を機に、店では“割引ギフト商品の再包装は禁止”という新たなルールが設けられました。一見クレーム回避のようにも思えるかもしれませんが、目的は違います。スタッフを守るためでもあり、お客様に誤解や不快を与えないためでもあるのです。お互いが安心できる環境づくりの大切さを、改めて痛感させられた一件でした。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

This article is a sponsored article by
''.