トラブル続きの自販機
私の働くドラッグストアの駐車場には、自動販売機が1台設置されています。自販機の補充や管理は業者が行うのですが、返金対応だけは店側の仕事。後日、業者から返金分を受け取るというルールになっています。ただこの自販機、なぜかトラブルが非常に多い。商品違いや返金ボタンの不具合など、頻繁にお客様からクレームが入るのです。
ある日、年配のお客様が困った様子で「緑茶を選んだのに、違う商品が出てきた。何回やっても緑茶は出てこなかった」と話します。お客様に返金し、押したボタンを確認したうえで業者に連絡することに。
横柄な態度にモヤモヤ
しばらくして業者が到着しました。やってきたのは背の高い中年男性。ぶっきらぼうで少し威圧的な印象です。状況を説明すると、「あー、見てみる」と無愛想に返され、作業を始めました。
数分後、店内に戻ってきたその男性は、「緑茶のボタン押したって言った?」と確認してきました。「はい。お客様はそうおっしゃってました」そう答えると、男性はため息交じりに「いや、そんなはずないよね。緑茶ボタンのとこには緑茶しか入ってなかったからさ」と。
「それじゃお客様の勘違いということですか?」と聞くと、「そこまでは言えないけど。もっとちゃんと聞いといてよ。仕事増えるから」男性は責任を押し付けるような発言をしたのです。イラッとしながらも、「では問題なかったということですね?」と確認。「大丈夫じゃない?」男性は曖昧に答えて帰っていきました。
またしても同じトラブルが
ところが数時間後、またしても自販機トラブルが発生。別のお客様から「違う商品が出てきた」と報告が。再度業者に連絡し、やってきたのは同じ男性です。「また?」と呆れたように言いながら作業に入りました。
詳しく確認してもらうと、緑茶ではなく紅茶のボタンの商品に誤混入があったことが判明! すると男性は、「最初に正しいボタンを教えてくれれば、もっと早かったんだけど」と言い放ったのです。
こちらにだけ非があるような言い方は……
男性の嫌味な物言いに思わずイラッとしてしまった私。深呼吸をして怒りを抑えつつ、こう反論しました。
「そもそも、商品を入れ間違えていたのはそちらですよね? 私はお客様がどのボタンを押したのか直接見たわけではありませんし、さっき来ていただいたときに他の商品も確認していれば防げたのではないですか?」
さらに「こちらにだけ非があるような言い方は納得できません。本部に報告させていただきます」とまで伝えると、そこで男性の態度が一変。「すみません。ちゃんと確認すればよかったです。今後気をつけます」と、口調も丁寧になって帰っていったのです。
あらゆる可能性を想定することの大切さ
翌日、店長に報告すると、「それはひどい。本部に伝えて対応してもらいましょう」と言ってくれました。その後、自販機トラブルは減り、あの男性が来ることもなくなりました。
どんな仕事でも、手抜きや責任転嫁はいい結果を生みません。一方で、男性のいう「状況が詳しくわからないことには対応しようがない」というのもまた事実。男性もこちら側も、あらゆる可能性を考えて冷静に状況を確認することが大切だと改めて実感した出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。