地獄の早朝補充とパートの現実
私が働くドラッグストアは、早番と遅番に分かれたシフト体制で動いています。早番は主に私たちパート勤務の担当で、朝一番に届いた大量の商品を補充するのがメイン業務。特に月末や繁忙期は納品量も尋常ではなく、重たいお酒や洗剤に体力を削られます。
一方、遅番は昼過ぎから閉店までの時間帯で、主に社員が担当。補充もありますが、発注などの事務作業が中心です。社員は店長と入社3年目のO君の2人。
店長はO君に早番の仕事も経験させようとしていましたが、「朝が弱いので無理です」と頑なに断り、結局O君は遅番専任に。早番業務を一切経験したことがありません。
心が折れた日の一言
ある夏の日、納品量は過去一といっていいほどの量でした。汗だくになりながら黙々と作業を進めていた私たちパート。そんな中、午後1時。O君がいつも通り遅番として出勤してきました。バックヤードに並ぶ荷物を見たO君は、一言。
「え? まだ補充終わってないの?」
その場の空気がピリッと張り詰めました。暑さと疲れで限界だった私たちにとっては、無神経な言葉。思わず「じゃあ、O君も朝番やってみてよ」と言うと、「僕、朝弱いんで」と、あっけらかんと返してきました。
放置された“指導不足”の末路
「このままではやっていけない!」そう感じた私たちは店長に相談しました。しかし返ってきたのは「O君、言っても聞かなくて……ごめんね」という弱々しい言葉だけ。
それから数か月が経ち、思いもよらない知らせが入りました。なんとO君は昇格。店長として異動することになったのです。「早番の作業もやってこなかったのに、本当に大丈夫?」と、誰もが不安に思っていました。
そして、その不安は的中。異動先ではスタッフからの不満が噴出し、ついには社内で問題視され、降格処分となったのです。
もしあの時、誰かが……
O君の姿勢に問題があったのは確かです。けれど同時に、店長がきちんと向き合わなかったこと、私たちもその様子を見て諦めてしまっていたこと……その積み重ねが、この結果を招いたのかもしれません。あの日、誰かが本気で指導していたら、O君の未来は変わっていたのでしょうか。
――あなたなら、どう思いますか?
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。