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開店前や閉店後というのはスタッフも少人数。だからこそ、「もしもの事態が起きた時にどう対処すべきか」を常に頭の中に入れておかなければいけません。今回は筆者本人が体験した、開店前のエピソードを紹介します。

開店前の店内で聞こえる物音の正体

私の働くお店は9時開店。8時から出勤するスタッフは1〜2人と少ない中、お客さんを迎えるための準備をしています。開店までの間、店の自動ドアはOFFにしているのですが、配送業者が来る可能性もあるので施錠だけは解除します。ただし手動で開けられるので、間違って入ってくる年配のお客さんもチラホラ。もちろん、開店時間まで待ってもらいます。

ある日の8時半頃、事務室での作業を終えた私が店内に戻ると、何となくいつもと雰囲気が違うことに気づきました。店内で聞こえる物音は、明らかにスタッフではありません。同僚は在庫置き場で作業中ですし、業者なら声をかけにきてくれるはずです。不審に思い音の方へ向かうと、見たことのない中年女性が割引商品を物色していました。

「早く来ちゃったから」

店内の照明もほとんど点いていない状態、しかも店の入り口に【OPEN 9時】と大きく書かれているにもかかわらず、自分でドアを開けて入ってきたようです。女性は私に気づくと、「もう買い物していいでしょ?」と口にしました。

「開店時間は9時ですし、まだ準備中なので外でお待ちください」と伝えたのですが、「早く来ちゃったから待ってる時間ももったいないでしょ?」と女性は聞く耳を持ちません。

まだ開店前の作業が残っていて少し焦った私は、再度店を出るように話しました。しかし「何その態度? それが客に対する態度なの?」と迫ってきます。全く店を出ていこうとしない女性に困り果てていたその時です。

なぜ? 態度を一変した女性

「大丈夫ですか?」という声。私と女性はその声に驚きました。声の主は、荷物を届けにきた配送業者の男性でした。

「不審者? 警察、呼びますよ!?」
配送業者の男性はそう言いながらスマホを手にしています。

ホッとする私とは対照的に、女性は焦っているのがわかりました。「違うの! 時間を間違えて入ってきちゃって。今出るところだったの。だから大丈夫」と、女性は今までの態度を一変。「あはは、ごめんなさいね。9時になったらお邪魔しますね」そう言って店から出ていったのです。

もし不審者だったら……

配送業者の男性は、女性が出ていったのを確認すると「いつも閉まってるドアが開けっぱなしだったから何か変だなって。店の中に入ってみたら、揉めてたからヤバイと思って」と教えてくれました。

ちなみに、その女性は開店時間になっても来店することはありませんでした。今回はたまたま来た業者さんに救われましたが、もし相手が不審者や強盗だったりしたら事態は深刻です。少ない人員だからこそ、最悪なケースに備えた対応と心構えが必要だと感じた出来事でした。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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