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ドラッグストアで働いていると、薬を買いにきたお客様を接客することも。資格を持つ私は、お話を聞いて薬の情報を伝えたり、商品選びをサポートしたりする機会もあります。今回は、思いもよらない“薬の使い道”に驚いてしまった、筆者本人の体験談を紹介します。

塗り薬を買いに来た中年男性

ある日の午前中、塗り薬が欲しいという中年の男性客がやってきました。

詳しく事情を聞くため、資格者の私が接客。「どういう症状ですか?」と聞くと、男性は「怪我をしたから、なにか効く薬をくれ」と話します。症状に合った薬を選ぶには、薬を使う人の情報をしっかりと聞いて判断しなければいけません。

「傷の状態は深いですか? 化膿したりとかは?」色々な質問をする私に、男性は少し苛立っているのが分かりました。それでも適当な薬を勧めるわけにもいきません。話を聞いている限り、本人が怪我したのではなさそうです。

怪我をしたのは猫!

「どなたが使うお薬をお探しですか?」そう聞いた私に「猫が怪我したんだ」と男性。実は、猫につける薬を探していたのです。

予想外の返答に驚いた私に、「なにか傷につける薬あるだろ?」と迫ります。食べ物でもそうなのですが、人間にとって問題ないものでも、動物にとっては害になるものはたくさんあります。人間にとっての薬も、猫にとっては毒になる可能性だってあるはずです。

「すみませんが動物用の薬は取り扱っていませんので、動物病院で診ていただいてください」そう伝えたのですが、「なにかいいのがあるだろ? 人間に効くなら猫にも効くだろ?」と引き下がりません。

なんとしても薬を欲しがる男性に勧めたのは……

さらに「病院は金がかかるから行きたくない」と話し、なんとしても薬を買って行こうとするのです。しまいには、「猫の怪我が悪化したらお前のせいだぞ!」と言う男性。

仕方なく私はその場でスマホで検索し、「猫に人間用の薬は使ってはいけない」という内容の記事を見せ、「悪化する前に病院に連れていってあげてください。私ができるのは、お客様に受診を勧めることだけです」と伝えました。そうすると男性は怒りながらも、ようやく薬を諦めて帰っていったのです。

後日来店した男性から「ありがとう」の言葉

後日、その男性が来店。私を見つけると気まずそうに近寄ってきました。

「この間はすまなかった。動物病院に連れて行ったよ。先生にも“人間用の薬を安易に使うのはダメだ”って言われた。病院を勧めてくれてありがとう。おかげで傷も治ってきたよ」男性はそう話してくれたのです。

怪我をした猫のために薬を探し回っていたのは、男性の優しさに他なりません。ただ、その薬の入手を急ぐゆえに、効果の保証がないものに頼ろうとしていたのも事実。だからこそ、私の立場から猫のために伝えられることをきちんと伝え、最終的にはそれを理解してもらえたのは本当によかった、そう思えた出来事でした。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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