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接客業をしていると、お客様の色んな要望に応えていった経験からできることも増えていきます。ただ、たまにスタッフのことを「なんでもやってくれる便利屋」だと勘違いしているお客様も……。今回は筆者本人が遭遇した「そりゃ無理だよ」なエピソードを紹介します。

忙しい日に現れた女性客

私の働くドラッグストアでは、繁忙期であってもギリギリのスタッフ数で店を回すことが多くあります。世間はゴールデンウィーク。帰省客で賑わう、とても忙しい時間帯に、私はとある中年女性の接客をしていました。

この女性、クレーマーとまではいかないけれど、商品やスタッフに対してしょっちゅう嫌味を言ってくる人。この日も私は化粧品や日用品、薬の説明につきっきりになってしまい、レジ応援にも行けない状態が続きました。

私がやっと解放されたと思ったら、今度は別のスタッフを呼び止めたりと、結局1時間くらい買い物をしてから女性は帰っていきました。

「車が動かないから、なんとかして」

ほっと胸をなでおろしたのも束の間、女性はすぐに戻ってきました。そして、「ちょっと駐車場まで来て!」と私を呼びつけるのです。

大忙しの同僚たちにひと言伝え、女性に付いて駐車場へ行くと、「私の車が動かないんだけど。この店の駐車場で起きたことなんだから、なんとかして!」と女性。

確かに店の敷地内ではあるけれど、【駐車場で起きたことには店の責任はない】と看板も出しています。それに車のことは、当然ながら私も専門外。「申し訳ありませんが、レッカーを呼ぶなり、ご家族を呼ぶなり、お客様で対応をお願いします」と伝えたのですが、女性の言葉にビックリ。

「あなた、車を見ることもできないの?」

私は整備士じゃない!

「私は整備士じゃありません、ドラッグストアの店員です。お言葉ですけど、あなたも自分の車のことなのに分かってませんよね?」と言えたらスカッとするのですが、言えるわけもなく……。

それでもどうにか「店側では車のことは対応できない」と伝え、再度女性に自分で対応をするようにお願いしました。

女性がようやく、渋々ながらもどこかへ電話をかけ始めたのを確認して、私は店内へ戻ったのです。

迎えに来た息子さん

その後、女性を迎えに来た息子さんが店内にいる私に声をかけてくれました。

「母がご迷惑をかけたみたいで、すみません。車のバッテリーが上がっていました。車内灯をつけっぱなしだったのが原因みたいです」と丁寧に謝ってくれたのです。店の外を見ると、女性は駐車場で待っているだけ。ただ、なんともバツの悪い顔をしていました。

突然のトラブルで慌てる気持ちも分からなくはないですが、接客業として無理なものは無理ときちんと伝え、結果的にはルールの通りに対応してもらえたので、一件落着かなと思う出来事でした。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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