甘い言葉を送り続けた「王子」
マッチングサイトで知り合った相手とのやり取りは、やがてメッセージアプリに移り、「本人」とのビデオ通話も重ねていったといいます。相手は甘い言葉をかけ続け、女性はすっかり信じ込んでいました。
動画で話した相手の正体は“ディープフェイク”
この出来事を報じたのは、AFP通信です。フィリピンで家事労働者として働く女性が、実在するドバイの皇太子シェイク・ハムダン・ビン・モハメド氏になりすました人物とマッチングサイトで知り合い、AI生成の映像による偽のビデオ通話を通じてやり取りを重ねていたといいます。「寝ている間もメッセージを送ってきた」と、女性はAFPの取材に語っています。

1年分の貯金を失う
相手は徐々に感情的なつながりを築いた後、金銭を要求するようになったとされています。女性は結婚証明書や「王室メンバーシップカード」の取得費用として、約10万フィリピンペソ(約26万4000円)を送金。
これは女性の1年分の貯金にあたる金額だったといいます。さらにホテルの予約費用として追加の送金を求められたことで不審に思い、相手のFacebookアカウントを調べたところ、ナイジェリアから運用されているとみられることが分かったといいます。女性はそこでやり取りを打ち切りました。
世界で広がる同様の手口
AFPによると、こうした「ドバイの皇太子」を騙る詐欺は他にも報告されており、研究者はナイジェリアの犯罪グループとの関連を指摘しています。
海外では、ブラッド・ピットになりすました詐欺により、フランス人女性が83万ユーロ(約1億5521万円)をだまし取られた事件も報じられました。世界詐欺対策連合によれば、恋愛詐欺を含む詐欺被害額は、世界全体で年間4420億ドル(約71兆8250億円)にのぼると推計されています。
米コーネル大学のデイビッド・ランド氏は、「技術は急速に進歩しており、リアルタイムの映像を使ったディープフェイクは今後さらに精巧になっていくだろう」と指摘。オンラインで知り合った相手が有名人や富裕層を名乗る場合や、関係が急速に進む場合、金銭を求められた場合には、特に注意が必要だとされています。
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