細くて長い手足に、キュッと引き締まった美しいウエスト、そして8頭身とも言えるようなパーフェクトなボディバランス……。きっと、まだ世の中の大半が、「モデル=細い」、「細い=美」という凝り固まったイメージを持っているのではないでしょうか?

しかし近年では、「ボディポジティブ」のムーブメントもあり、カーヴィモデルやプラスサイズモデルも地位を確率し、活躍できる時代です。そして、その風潮は米国だけにとどまらず、ファッションの聖地、ここミラノでも徐々に広がりつつあるようです。

ここでは、モデルのダイバーシティ化と女性の美しさの多様性をコレクションで表現した、イタリアを代表するラグジュアリーブランドをお届けします。

ミラノでいち早くプラスサイズモデルを起用し、圧巻のランウェイを披露した「Dolce & Gabbana」

まずは、イタリアの人気ブランド。「Dolce & Gabbana」が2018年9月23日に発表した2019春夏ウィメンズコレクション。そこで、アニマルプリントのドレスを見に纏い美しい曲線美を披露したのは、プラスサイズモデルのアシュリー・グラハム。彼女はボディアクティビストとしても積極的にボディポジティブを訴えるパイオニアでもあり、「Dolce & Gabbana」の新しいキャスティングの試みに注目が集まった。

2020年秋冬ウィメンズコレクションで、「FENDI」が初めてプラスサイズモデルをランウェイで起用

続く、2020年2月20日に行われた「FENDI」の2020年秋冬ウィメンズコレクションでも、モデルの多様化を見せてくれた。人気モデルのジジ・ハディッドをはじめ、名だたるモデルがラウンウェイを飾る中、そのトップモデルたちを差し置いて一際注目を浴びたのがプラスサイズモデルのパロマ・エルセッサーとジル・コーテリーブです。

パロマは、ペールイエローのジャケットとスカートをエレガンスに着こなし、ジルは、センシュアルなレース使いが魅力的なブラックレースを施したドレスを堂々と華麗に着こなしました。特にパロマ・エルセッサーは、数年前からファッション業界のダイバーシティ化を訴えてきた一人なので、「FENDI」のランウェイを歩いた彼女の影響力は大きかったようです。

3人のプラスサイズモデルを起用した「VERSACE」の2021年春夏コレクション

さらに、2020年9月25日に行われた「VERSACE」の2021年春夏コレクションのランウェイにも、あらゆるボディサイズの3人の女性がランウェイに登場し、「VERSACE」に新たな歴史を残しました。「VERSACE」らしい艶やかな衣装を着てランウェイを沸かせたのは、(左から)ジル・コートリーヴ、アルヴァ・クレール、プレシャス・リーの3名のプラスサイズモデルです。

「VALENTINO」2022秋冬オートクチュールコレクション、ピッチョーリが時代を超えて表現する「新しい美の価値観」

そして、中でも記憶に新しいのは、今年2022年7月8日にイタリアの首都、ローマで行われた、「VALENTINO」2022秋冬オートクチュールコレクション、「VALENTINO THE BEGINNING」です。

ローマを象徴する美しいスペイン広場を舞台に行われたショーですが、クリエイティブディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリは、同年1月26日にパリで行われた2022年SSクチュールコレクションでも、プロポーションの異なる10人のハウスモデルを集め「新しい美の価値観」を表現することを重要視していましたが、今回の2022秋冬オートクチュールコレクションでも、そのキャスティングは変わらず、プラスサイズモデルとして絶大な人気を誇るジル・コートリーヴほか、幅広いモデルを起用し多様性を打ち出しました。

まとめ

アシュリー・グラハムやジル・コートリーヴなど、ランウェイやメディアで大活躍するプラスサイズモデルたち。彼女たちから放たれる「ボディポジティブ」なマインドは、これまでの凝り固まった美の固定概念を打破し、「美」に新たな価値観を与えてくれることになりそうです。