コーデスナップスタッフが、スナップ取材の休憩で利用する、お気に入りカフェを紹介する連載。最終回に紹介するお店はドイツの首都ベルリンのお店Material(マテリアル)。

Materialはのびのびとした雰囲気が魅力のプレンツラウアーベルク地区に位置するショップです。オーナーのひとりである、カルロスさんに詳しくお話を聞くべく、ショップを訪問しました。

Material

閑静な住宅地として、若いファミリーや学生、アーティストに人気のあるエリア・プレンツラウアーベルク地区に位置するMaterial。その店内はワインの地下貯蔵庫を彷彿させる煉瓦造りの壁と木製ラックにずらりと並ぶワインボトルが印象的です。

カルロスさん:この場所は、かつて私がやっていたワインショップ『WineMaterial』をアップデートした結果として生まれました。ワイン、コーヒー、ペイストリー、フードという4つの要素が交わっています。だからこそ、このショップはカフェ、バー、ワインショップであると限定することなく、ただ『Material』と名乗っています。

Materialで取り扱うワインはすべてカルロスさんが自信を持ってオススメするナチュラルワイン。心から信頼している生産者から直接仕入れたものです。商業的で人工的なワインとは一線を画すラインナップの理由は「本当によいモノを人々にシェアしたいと思っているから」だとカルロスさんは語ります。もともとベルリンのナチュラルワイン愛好家には広く知れ渡った存在であったワインショップを現在のカタチにアップデートしたのも、この思いがあったからこそ。

カルロスさん:良質なモノ、取り繕うことのないオーセンティックなものを人々に届けたいと思っていた私にとって、よいコーヒーを提供するというのもMaterialのコンセプトに合うだろうと感じたのです。今のお客さんのなかにはこれまでナチュラルワインに興味がなかったという人もいますが、そんな彼らにもナチュラルワインに触れるきっかけが生まれます。「よいモノを経験する場」になっているのです。

サーディントーストとお砂糖をたっぷりまぶしたサフランバン。どちらもMaterialの人気のメニューです。カルロスさんイチオシのオレンジワイン『ファンキー・オレンジ』とピンクワイン『クロアック・クロアック』とともに。

カルロスさんがMaterialのベースとなるワインのプロジェクトを始めたのは9年前。もともとは科学者としてドイツ・ケルンの大手化学薬品会社で20年以上働いていたカルロスさんは「自分の人生のために何か好きなことをしたい」という思いから、会社員を続けながらワインのプロジェクトを進めていたといいます。次第にプロジェクトの規模が大きくなり、現実的に会社員の仕事を継続することができなくなったタイミングで本格的にご自身のプロジェクトにシフトすることになりました。

カルロスさん:私は化学の博士号を持ち、長年にわたり化学薬品会社で働いていたのですが、会社で働きながらワインのプロジェクトを始めたのです。ケルンは小さな街ですが、徐々に人々がナチュラルワインに興味を持つような環境を作ることができました。当時のベルリンではナチュラルワインやガストノミーはあまり重要視されていませんでしたので、試験的にイベントを数回開催しました。そのうちに人気となり、ベルリンにお店を作ることに決めました。私が思うに、ベルリンという街はありとあらゆる国籍の人々の集まる多文化的な街で、新しいプロジェクトにも非常にオープンな場所です。他のドイツの都市だとリスキーなことも、ベルリンは寛容なので挑戦しがいがあるのです。

店舗情報

Material

Info.

https://foodmaterial.com

https://www.instagram.com/materialberlin/

Schönhauser Allee 156, 10435 Berlin GERMANY

月〜日:8時〜25時

Senior writer / Photographer:Yuko Kotetsu

Coordinator:Yuri Wakamori