豪華ゲストの登場や、元祖スーパーモデルのカムバック、新進気鋭なコラボレーションなど、毎回ゲストにサプライズを与えてくれる世界4大ファッションウィーク。ここでは、2023年に行われたパリ・ミラノのファッションウィークの中でも印象深いブランドをピックアップしてお届けします。今回は、最新のテクノロジーを使った斬新なパフォーマンスで毎回SNSをバズらせる「コペルニ(Coperni)」。

みなさん「コペルニ(COPERNI)」というブランドをご存じでしょうか? セバスチャン・メイヤー(Sebastien Meyer)とアルノー・ヴァイヤン(Arnaud Vaillant)が手掛けるフランス生まれのブランドです。コペルニの認知度を急激に高めたのは、2022年9月30日に行われた2023年春夏コレクションなのではないでしょうか。

2023年春夏:ランウェイ上で即興ドレスを身に纏ったベラ、ファッション史に名を刻んだ瞬間

ランウェイのクロージングにスーパーモデルのベラ・ハディッドが下着姿で登場し、その場で身体に特殊な液体をスプレーで吹きかけるパフォーマンスを披露。そして、その液体は見事なミディドレスへと変化し、即興ドレスを纏いフィナーレを飾りました。この最新テクノロジーを駆使した演出がSNS上でバズり、多くの人を魅了しました。

2023年秋冬:モデルと5体のロボット犬「スポット」がランウェイで共演

そして、誰もが期待を胸に待ち望んだ2023年秋冬コレクションでは、ロボット犬を使ったパフォーマンスが瞬く間にSNS上で拡散され注目を浴びました。オープニングと共に姿を現したのはモデルではなく、まるで犬のような黄色いロボット「スポット」。これは、ボストン・ダイナミクス社によるロボットで、フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの童話「狼と仔羊」を、人間とロボットをテーマに物語を再構成したものでした。

この5体の「スポット」は、モデルが羽織っていたアウターを脱がせたり、バッグを受け取って、キャットウォークを歩き終わったモデルにバッグを返したり、ランウェイ中も大活躍を見せてくれました。

2024年春夏:「音」をテーマにしたコレクションで最新ガジェットとコラボレーション

2023年9月29日に行われた2024春夏コレクションでは、最新ガジェットを取り入れたランウェイを披露しました。例えば、オープニングに登場したモデルは、トランスペアレント社のフラットスピーカーが胸にデザインとして組み込まれたレザージャケットを着用。

さらに、Appleの元社員らによって設立されたHumane社が開発したという最新ウェアラブルガジェット「Humane Ai Pin」が胸元に付けられたジャケットも登場しました。

ショーの後半、会場の視線が釘付けになったのは、CDプレイヤーを「スワイプバッグ化」したバッグ。もともとAppleのiPhoneに表示されるスワイプマークから着想を得たコペルニのアイコンバッグ「スワイプバッグ」ですが、今回は懐かしさを感じるCDプレイヤーをスワイプバッグにしたルックが登場し話題に。今では懐かしいCDプレイヤーにY2Kを匂わせる雰囲気に心を奪われたfゲストも多かったのではないでしょうか。

2024年春夏のコレクションは、期待とは裏腹に、液体をスプレーして即興ドレスを生み出すというほどの衝撃は見込めませんでしたが、ランウェイに革新的なパフォーマンスを取り入れ、コペルニのフィロソフィーを打ち出しました。もうすぐ始まるパリファッションウィーク2024/25年秋冬の演出にも注目したいところです。

 

Senior Writer:H_aco