「好きなことを一生の仕事に」その一心で販売員へ
服を自由に着たい気持ちから、高校を転校するほどファッションが好きだった加藤さん。好きなことを一生の仕事にしていきたいと強く思い、高校卒業と同時に大好きだった渋谷109のアパレル販売員として就職。当時では珍しくインポートブランドを多数扱っていたお店です。
「8割インポート：2割オリジナルという構成で、ロサンゼルスの目新しいブランドなども並んでいました。18歳の時に渋谷109の店長に就任して、21歳まで店長兼ショップMDという形で地方のお店の立ち上げも一部携わらせていただきました」
アパレル販売員から店舗プロデュースへ挑戦
その後バイヤーや商品企画をやりたいと考え、渋谷109の新規事業となる、雑貨から飲食まで揃う大型店のプロデューサーとして立ち上げから丸6年従事。アパレル販売員として順調にキャリアを積む中で、なぜ別業態のプロデュースにチャレンジしたのでしょうか。
「もともと服飾雑貨が大好きで、アクセサリーやバックなどを収集する癖があったので。あえて洋服以外のもので勝負したいと思っていました。企画もバイイングも兼務し、買い付けてきたものを日本に持って帰って、お客様に販売する工程まですべて自分でやっていました。もちろん裏方の仕事もやるんですけど、現場が好きなので店頭に立つことは絶対やめなかったです。そういった血の通った仕事の仕方ができているのは自分にとってバランスが良かったし、今の業務にも生きているなと感じます」
MDを勉強し、フリーランスへ転身
企画やバイヤーは表に発信する華やかな業務でしたが、いつしかディレクターとしてMD(マーチャンダイジング)も勉強していかないと、自分のスタイルが確立できないと思い26歳のときに再び転職。
「企画もMDもバイヤーも1人で全部兼務しました。今までやってきた仕事も活かせるし、MDの知見もかなりつけられましたね。その後、30歳でフリーランスとして独立しました」
18歳の頃から探究心をもって努力してきた彼女ですが、フリーランスになって葛藤もあったそう。そこにはコンプレックスを強みに変えて成長していく姿が見えます。
「ファッション業界にいると、専門職の方々には叶わないなと思うことが多くて。フリーランスになった時に1番葛藤したのが、“自分の強みとは何か”でした。色々なセクション2、3年かけて勉強してきたことが、今になってようやく自分の強みとして自信になっています。」
仕事への意欲が高まり株式会社ジュンへ
ブランドを1から育てる経験をし、フリーランス時代は自分の体一つで仕事を獲っていくなど、幅広いチャレンジを経て株式会社ジュンへ入社。そのきっかけは？
「一時期仕事をセーブしていた時期がありましたが、フリーランス時代にさまざまな企業からお話をいただく機会が多くなってきて、もうちょっと仕事を頑張りたいって思ったのがきっかけです。仕事と向き合う時間を改めて作り、経験を生かすことができると感じ、ジュンに正社員として入社しました」
株式会社ジュンでは当初【MAISON DE REEFUR】で雑貨の企画とバイイングを担当していましたが、その後渋谷パルコ1F にあるジュンが運営するポップアップストア「POP BY JUN」の事業立ち上げに従事。コロナ禍をきっかけに、新たなEC事業である【Life&Beauty by JUN ONLINE】のバイヤーへと就任します。
「2019年からPOP BY JUNの担当になり、プランナーとして新規事業を立ち上げました。ジュンが強みとしているカルチャー発信というところで、アート、ファッション、 映画、フードといったファッション以外のブランドさんやアイテム含めてコラボレーションして、イベントをその空間で一緒に作ったり、そこでしか買えないような限定アイテムを一緒に開発したりしました」
「2020年にコロナ禍に入り、新規事業の【Life&Beauty by JUN ONLINE】を立ち上げることが決まり、立ち上げから担当することになりました」
ECのフィールドでも手腕を発揮
販売員、MD、企画、バイヤーとさまざまな色を経験した加藤さんが新たに挑むのはECの分野。お客様と直接触れ合えないフィールドで、どんな戦略を展開していったのでしょうか。
「MD設計から、バイイングを中心にサイト全体のディレクションを担当しています。ライフスタイルやビューティーのアイテムは、シーズンレスかつ値段に縛られず、永続的にお客様のそばにおけるもの。だからこそ柔軟にバイイングできる楽しさがあります」
「また、ライフスタイルとビューティー両方が混在しているため、回遊が楽しめるんですよね。コスメ目的で来店して、ついでにインセンス買おうかなとか、器が素敵だなとか、他の感性をくすぐられるようなものを一緒の空間やオンラインで表現していることが強みかなと思います」
ECサイトを拝見すると、商品に対するビジュアルやコメントがわかりやすく、手に取っていないのにまるで手にとっているかのように感覚的に伝わってきます。そこに辿り着くまでには苦労も多かったようで…
「オンライン事業を担当するのが初めてだったので、オンラインを通していかにリアルな発信や言葉が届けられるかってところは結構大変でした。メインターゲットは30代〜40代で、コアに雑誌を読み漁ってた世代。そういう方たちが読み込んでも楽しめるような情報量や内容の豊かさは、サイト作りでも1番意識しているところです」
こだわったバイイングで「世界観」を作り上げる
内容やコンテンツはもちろん、セレクトするブランドにもこだわりが満載。ライフスタイルやビューティーのカテゴリは取り扱う商品も幅広い中で、加藤さんはどういう基準でブランドやアイテムを選んでいるのでしょうか。
「口コミでレビューが多ければ確かに安心感はあるけれど、お客様に自信を持って取捨選択してもらいたい。ここにあるものは、確かな商品であり信頼ができるものって思っていただきたい。それが、バイヤーとして最も意識していることです」
バイヤーとしてのやりがい、充実感を得る瞬間は？
【Life&Beauty by JUN ONLINE】立ち上げから4年。取り扱いブランドの中にはまだ知る人が少ない新しいブランドも多い中で、ブランドさんと一緒に成長していけるのも加藤さんの楽しみになっています。
「ポップアップショップを開催すると、セレクトしたニッチなブランドや作家さんの一点ものなど、なかなか手に入らないものや目新しいものをめがけて訪問してくださる方が増えてきました。今後もそういったブランドをしっかり発信していきたいです」
お客様の反応で嬉しかったことも増えたそうで、「実際に見てみたくてわざわざ仕事の休憩中にポップアップショップへ足を運んでくださり、リアルな発信をもっとしてほしいと声をいただく機会も増えてきました。10代からお店に立っていたので、ECのフィールドにいながらも、やはり原点は店頭。バイイングしたものを店頭でお客様に直接手にとっていただけて、自分自身でカウンセリングや接客もさせていただくので、ダイレクトにお客様の反応が知れるときに充実感とやりがいを感じます」
現場愛！ポップアップショップに力を入れたい
そんな加藤さんは【Life&Beauty by JUN ONLINE】をこれからどのように成長させていきたいと思っているのでしょうか。
「半期に2、3回のペースでポップアップショップを開催しておりますが、お客様から開催場所をもっと増やして欲しいとリクエストもいただくので、直近の目標としては地方含めてポップアップの出店を加速できたらと思っています。そしてゆくゆくは、ライフスタイルとビューティーの厳選されたアイテムを集積した、他にはないセレクトショップを作りたいと思っています」
これまでの豊富な経験をもって、加藤さんがバイヤーとして大切にしていることは、セレクトの審美眼や知識以上に「お取引先様やセレクトするブランドもお客様と同じくらい大切な存在。バイヤーとしての人格を大切に考えています。ブランドさんと一緒に成長していけたらという気持ちで周りの方々と関係を構築していくことで、人としても成長できるんじゃないかと思います」
【INFOMATION】POP UP SHOP開催のお知らせ
2024年12月10日〜12月25日まで、【Life&Beauty by JUN ONLINE】の過去最高規模となるポップアップストアをルミネ新宿 ルミネ2で開催！詳細はこちら。
・開催期間
2024年12月10日（火）～12月25日（水）
・開催場所
〒160-0022
新宿区新宿3-38-2
ルミネ新宿2 2F EVENT SPACE
・営業時間
All day 11：00～21：00
・ニュースページ
https://landb.junonline.jp/news/365493
今回は初のルミネ新宿 ルミネ2、過去最大規模ということで、日本初上陸の韓国ブランドもローンチ予定。ホリデーシーズンのギフトに最適なアイテムも取り揃えています。今回インタビューさせていただいたバイヤー加藤さんも店頭に立ちますので、ぜひ足を運んでみてください。
Photograph／ASAKO HOSHI
Writer／石井真奈美
