ファッションの世界で頑張る女性をクローズアップし、その活躍や軌跡を辿っていく連載企画。今回はMOUSSYやSLYなど人気ブランドを多数展開する【バロックジャパンリミテッド】オフィシャルスタッフの田中梨花さん(@natorika)が登場。【MOUSSY】ショップスタッフを経てブランドの枠に留まらない【バロックジャパンリミテッド】オフィシャルスタッフとなり、SNSで多数のフォロワーを抱える人気インフルエンサーでもある彼女。仕事へのこだわりや人気のヒミツ、これからについてお話を伺ってきました。

スタッフへの「憧れ」から「働きたい!」へ

田中さんがファッションの世界に入ったきっかけは、大好きだった安室奈美恵さんがよくデニムをはいていた【MOUSSY】に興味を持ったこと。中学2年生のときお店に行ったところ、スタッフさんに一目惚れ。

画像: スタッフへの「憧れ」から「働きたい!」へ

「こんなにかっこいい人が存在するんだとビックリしました!混んでいる店内でも迷っている私に色々聞いてくれて、中学生ながらに感動してしまって。買ったアウターはずっと着続けました。その日をきっかけに【MOUSSY】で働くことが夢になりました」

高校に入るとバイトをしてお金を貯め、少しでも夢に近づけるよう頑張ったそう。お店のスタッフからのスカウトもあり、高3で面接を受け、その熱意が伝わり無事【バロックジャパンリミテッド】へ入社。【MOUSSY】でアルバイトとして働き始めます。

「憧れのスタッフさんがいる渋谷109店への配属のお話もありましたが、都心の店舗で働くのが少し怖かったのと、ましてやその方と働くのも緊張してできないと思って、そのときの家から近かった立川店に希望を出しました」

出産を機に一度退社し、1年以内に職場復帰

18歳で入社し、19歳で出産を機に一度【MOUSSY】を離れることに。出産後、姉がよく通っていたという表参道のThe SHEL’TTER TOKYOで買い物中、【MOUSSY】の店長から直々にスカウトを受けます。

「もともと出産後1、2年で【MOUSSY】に戻ると決めていたので、それを伝えたら店長が異動する川崎店のお手伝いをすることに。そこで私が着ていた服にお客様の問い合わせが殺到して、次の日着ていた服もすごく売れたことで、また本格的に仕事復帰することになりました」

出産後1年足らずでの復帰。保育園を探し、お子さんを預けながら川崎店で本格的に働き始めます。このときも、子育てと仕事を両立するためパートアルバイトという形で勤務。

「川崎店はママがすごく多いモールなので、顧客様がたくさんできました。Instagramも、それまでは鍵つきで私服や息子との日常を載せるようなアカウントだったのですが、顧客様に着こなしを見せるため公開したところ、そこで着ていた服がすごい売れたんです。それを機に、実際に買ったものをSNSに載せるようになりました」

Instagramやアプリでの発信が新たな武器に

もともとは人に写真を撮られることが苦手だったという田中さん。SNS投稿やスナップを頑張ることで大きな反響があり、「これはもしかしたら誰かのためになってるかもしれない」と気づきます。

そこから販売員がECサイト上へコーディネートを投稿できる「スタッフスタート」に毎日スナップをあげるとどんどん売り上げが立ち、本社から【MOUSSY】のオフィシャルスタッフのオーディションのお誘いを受け、見事合格!

画像: Instagramやアプリでの発信が新たな武器に

「【MOUSSY】のオフィシャルスタッフは月に何回か本社でスナップ撮影をしたり、 雑誌などメディアの撮影で露出をしたり、ブランドの公式のインスタライブに出たりするのが主な仕事です。ただ写真を撮られるだけではなく、店舗やSNSの更新との両立を頑張らなきゃいけない立場ではありますね」

コロナ禍を経てSNSと店舗の大切さを実感

川崎店に配属後【MOUSSY】のオフィシャルスタッフを担当したのは4年ほど。お子さんが小学校入学するタイミングで立川店に異動し、同時にコロナ禍へ突入。そこでSNSが一気に伸びたといいます。

「自粛期間はお店も閉まっているので仕事がない状態に。不安も感じながら過ごしていたとき、本社からサンプルを定期的に送っていただいて、家で撮影してSNSに載せるお仕事をするようになりました。ライブ配信もやり続けてなんとかコロナ禍を過ごして、SNSの力やECって大事なんだと実感しました」

コロナ禍を越え、ECの大切さを知った田中さん。ここでさらなる転機が訪れます。

「自粛期間が終わってオープンした【MOUSSY】のお店にたくさんのお客様が来てくれたんです。そこでやっぱり店舗ってまだまだ必要だし、ECだけじゃダメ、こういう時に会いに来てもらえる人にならなきゃって学びました」

STAFF OF THE YEAR 2021で2位を獲得!

その経験を経て、「スタッフスタート」が開催する令和のカリスマ店員を決めるコンテスト「STAFF OF THE YEAR 2021」に出場。コロナ禍での経験や今までの思いを伝えた結果、2位に輝きました。

画像: STAFF OF THE YEAR 2021で2位を獲得!

「実は、出場を2回ぐらい断っているんです。人によって良さは違うし、人に順位をつけること自体が苦手なので。だけど出場を打診されたときに、私のことを応援してくれる方達が浮かんで、これを“勝ち負けや評価じゃなく、頑張ろうとしてる子の背中を押すためにやろう”って思えて出場を決意しました」

【バロックジャパンリミテッド】オフィシャルスタッフとして活躍の場を広げる

「STAFF OF THE YEAR 2021」に出たのち、昨年からブランドの枠に留まらず【バロックジャパンリミテッド】のオフィシャルスタッフに。取材や出張も増え、表参道の旗艦店へ異動。今年の10月ごろから本部勤務になり、さらに活躍の場を広げることに。

画像: 出典:SHELT'TER WEBSTORE www.ec-store.net
出典:SHELT'TER WEBSTORE
www.ec-store.net

「本部ではスタッフのSNSやスタッフスタートのアドバイス、講習をメインにお仕事しています。不定期ですが店頭にも立ちますし、スナップやメディアの撮影、朝講習をやってからアドバイスするなど、1つの枠に収まらず多様な働き方をしています」

子育てをしながらいろいろな働き方をし、多忙を極める田中さん。やることが多いからこそ、壁にぶつかり、うまくいかないこともあるのだそう。

「何個も案件があって忘れちゃった時とか、1回お店のロッカーに頭突っ込んで泣きました!もうできないかもって思うことはしょっちゅうあるけど、私は人が本当に好きなので、できない時こそ人といっぱい話します。12歳の息子に普通に相談したりもしますよ。乗り越えるときは、息子なりスタッフなり、人が頑張ってるところを見て自分も頑張ろうって動ける。全部人きっかけです。人の言葉や行動が原動力になっているかもしれないですね」

SNSでもフォロワー多数!ファンに慕われる理由とは

田中さんは、Instagramでも多数のフォロワーを抱える人気インフルエンサーという一面も。店頭でもSNSでもファンをたくさん抱える中で、投稿や発言はいつも自然体です。

画像: 出典:Instagram www.instagram.com
出典:Instagram
www.instagram.com

「いつでもリアルを心がけているので、可愛いもの、好きって思ったものを載せています。恵まれたことに、ブランドをPRする中でも自分らしいものを選ばせてもらっていて、それができるのも私の好みや性格をわかってくれてるブランド側がいるからだと思います」

さらに、SNSで何万人もファンがついてくれた自分なりの理由を、このインタビューを機に改めて考えたといいます。

「川崎店勤務のときに、帰宅時間に毎日DMをInstagramのストーリーズ上で返してた時期があって、それを何年間かやり続けていました。今は件数も増えてなかなか返せてなかったのですが、初心に戻ろうって最近思って。また定期的にDMを返すようにしていますね」

「あと私、記憶力がいいのが唯一の特技なんです。よくInstagramの質問箱で人生相談を受けていたんですが、返した内容も思い出せるし、接客したお客様の買ったものも覚えていて。5年前に会った人の買った服、話した内容、その日着てた服も覚えてるんです。だから、次会った時にその人のクローゼットを想像しながらアドバイスができるんですよ」

「信じられる接客」こそ強みになる

売りたい気持ちだけが先に立たない、お客様の立場に立った接客を心がけていることも、ファンが集まる理由。そんな田中さんならではの接客スタイルが確立された背景には、周りの協力も大きかったそう。

「販売員ってたくさん売ってって言われることもあると思うんですけど、私の周りや上司は決して言いませんでした。やっぱり売らなきゃって思えば思うほど、顧客様はつきづらいと思うんです。似合ってないのに売っちゃったり、そのときは会話が盛り上がるから買うけど、家に帰って1人になった時にあれ?ってなったり。私はそれを絶対したくないです。自分だったら嫌じゃないですか」

人を知る。感謝する。その心が良い接客を生む

「販売っていろんな人がいて成り立つ仕事なので、人に感謝をし続けることだけは忘れずにいたいものです。人となりも接客に出るし、接客っておもてなしじゃないですか。人に尽くす気持ちだったり、知りたい気持ちがないとできないと思います」

画像: 人を知る。感謝する。その心が良い接客を生む

「もしお客様や初めて会った人のことを知ることで壁にぶつかってるんだったら、自分の周りの人のことをまず知ろうとする気持ちを身につけてみる。それを癖付けると、自然と人に興味が湧いてきて、人を好きになって、初めて会った人のこともちゃんと考えてあげられるようになるんじゃないかな」

田中さんのこれからの目標も「人」を大切にしたものでした。

「私は常に誰かが喜んで、楽しんでくれるのが好きなので、これからも誰かの必要となることをずっとやり続けていきたいです。まずは販売をしながらSNSをやる大変さをわかってるからこそ、そこに向けて頑張っている子たちのサポートを徹底したいし、会社のお洋服のPRももっとしていけるように頑張ります。あとは、母として息子の夢が叶うようにサポートしていくのも今後の目標です!」

田中梨花さんInstagram
https://www.instagram.com/natorika/
SHELT'TER WEBSTORE
https://www.ec-store.net/sws/r/rSWS

Photograph/芝崎テツジ
Text/石井真奈美

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