今さら聞けない「NFTとは!?」その特徴と市場の変遷
まずはじめに、NFTについて軽くおさらいしておきましょう。
NFT(Non-Fungible Token)とは、日本語で“非代替性トークン”と訳されます。非代替性は“替えがきかない、唯一無二のオリジナルである性質”、トークンは広義で“データ”という意味。つまりデジタル空間において「世界にただひとつしか存在しない」ことが証明されているのがNFTです。NFTはブロックチェーン技術によって作成され、作成者・所有者・取引履歴などの情報が含まれています。
従来のデジタルデータはコピーや改ざんが簡単にできてしまうため、データそのものに希少価値はありません。しかしNFTであれば、データの改ざんや重複を防ぐ技術で作られているため、オリジナルの記録が永続的に保存されます。作成されたデータに機能を追加して新しい付加価値をつけることができたり、企業やプラットフォーマーなど特定の管理者を媒介せず、個人間や2次市場で取り引きしたりすることができるといった特徴があります。アート、ゲーム、トレーディングカードなどのコレクティブルアイテム、音楽や電子書籍などのメディア、仮想空間上の不動産など、さまざまなNFTがあり、何を所有し、どの市場で売買を繰り返していくかによって、資産価値が刻々と変化していきます。
NFTが誕生したのは2017年ごろですが、新型コロナ禍真っ最中の2021年3月に、6930万USドル(約65億円)という高額落札を果たしたNFTアートが現れ、世界中で投機ブームが加熱。日本でも、メルカリ・楽天・サイバーエージェントといった大企業がNFT市場への参入を次々と発表し、ピーク時の2022年は、週あたりの取引ボリュームが32億USドル(約4720億円)を記録するまでになりました。
しかし、仮想通貨Terra(LUNA)の大暴落や暗号資産取引所FTXの経営破綻などが続き、NFTを取り巻く市場環境は急激に悪化。ブロックチェーン界隈は一気にトーンダウンしていきます。2023年10月には、週あたりの取引量は5000万ドルにまで下落。また同時期、Chat GPTに代表される生成AIの登場でIT分野にブームシフトが起き、NFTバブルの収束に拍車をかけたといえます。
「NFTにしかできない」デイトナ社が目指す3つのパーパス
しかし「投機目的優先のユーザーが減った今こそ、真のアートファンやアーティストのとっての大チャンス。NFTアート時代到来の幕あけなんです!」と断言するのが、今回ご紹介するデイトナ・インターナショナル社『NFT FREAK』プロジェクトチームのみなさん。ポータルサイトを中心に、X(Twitter)やDiscordといったSNSを駆使して積極的に最新情報を発信し、ユーザーからの確かな手応えを感じているそう。そこには一体どんな狙いがあるのでしょうか?
【パーパス①】顧客が楽しめる新コミュニティを提供したい!
日本全国に50店舗以上を展開するブランド『フリークス ストア』を擁するデイトナ社。主軸はアパレル販売事業ですが、アーティスト支援や、各店舗を利用した地域活性化に通ずるイベント施策など多彩な取り組みを積極的に行い、顧客らが多様な「好き」の形を楽しめるシーンづくりに力を入れてきました。『NFT FREAK』もその一環と位置づけ、NFTアートを通じてクリエイターとユーザーをつなぎ、新たなコミュニティを醸成しようとしているそう。
遠藤さん「一時期の加熱ぶりがひと段落した今、NFT界隈には“本当にそのジャンルが好きな人”が集まって活動している状況。特に、アート界隈の人々は本当に純粋で、熱心に作品やアーティストを愛しています。今なら、NFTアートを軸をとしてクリエイターと顧客を集め、彼らをつないで新たなコミュニティが作れるのではないかと期待したんです」
矢野さん「私たちはこれまで、さまざまなアーティスト・官公庁・企業などとリアルな世界でコラボレーションし、その成果をお客さまに届けてきましたが、そのスキームをデジタル空間にも活かせるのでないかと考えました。XとDiscordアカウントを運営している中で、本当にNFTアートが好きな方や、アーティストを真剣に応援したいと思っているファンの方などが集い、温かいムードの中で活発に交流してくださっていると感じるんです。『儲かればいい』という投機目的の人が中心ではどうしても殺伐としがちです。純粋なファンは、売って利益を得るために作品を入手したいわけではありません。好きだから手元に置いておきたいし、可能な限り何点でもほしい。本当に好きな人だけが残った今の状況はむしろ好機です」
松本さん「我々は本業のアパレルで1点もののヴィンテージを多く扱ってきました。希少価値の高いものを所有することで、ユーザーは気分が上がります。NFTアートも同様で、クリエイターがどれだけ苦労して創ったか、売り手がどれだけ熱量を持って届けたか、最終的な到達点であるエンドユーザーには丸ごとぜんぶ届きます。それをやりとりするコミュニティに所属し、ほかの人と交流することで気持ちも満たされると思います。自分の手元にあるアートの価値が上がっていく様子を見守るのも、また楽しいと思いますよ」
【パーパス②】クリエイターやアーティストを新たな手法で支援したい!
これまでもクリエイター支援活動に力を入れてきたデイトナ社ですが、NFTアートを主軸としたデジタル空間であれば、一時的な取り組みとしてではなく、クリエイターの発掘・支援・育成・コラボレーション商品の企画から商品化に取り組み、継続的な協業ができると大いに期待しているそうです。
遠藤さん「これまでも、全国各地のアーティストとコラボして商品開発をしたり、各店舗でイベントを実施したりという活動をリアルでずっと継続してきましたが、どうしても時間や空間の制限があります。デジタル空間であればもっと広がるはずです」
松本さん「クリエイターがデジタル空間で作品を公開する場合、トレースやコピーによる模倣・贋作や盗作が頻発したりなど、著作権を侵害されるリスクが常につきまといます。最悪の場合、価値がつかなくなってしまうことも。しかし、ブロックチェーン技術を使えば、資産の所有権やトレーサビリティ(資産のやり取りの履歴)が明確にでき、作品のオリジナリティや希少性を担保できます。NFTアートは、クリエイター自身と作品を守れるきわめて有効な手段だと思います」
【パーパス③】ファッションとデジタルを真に融合させ、業界のリードカンパニーに
遠藤さん「ウェブの世界は日々どんどん進化し、時代はすでにWeb3、ヴァーチャルファーストです。そうしたウェブを取り巻く時代の変化に合わせて、我々も新たな挑戦をしていかねばなりません。ブロックチェーンや生成AIといった最先端の技術を駆使しながら、アパレル企業の枠を取り払って常に挑戦するスタンスを貫き、示していきたいんです」
矢野さん「弊社は2021年に経営体制を一新し、世界初のオリジナルインタラクティブミラー『+PLUS MIRROR(プラスミラー)』の店舗導入をはじめ(※現在は子会社化)、DXソリューション領域ビジネスに特に力を入れてきました。ソフトやハードを開発・運営保守できるメンバーを自社グループ内に擁しており、ほかの企業様にもご提案しているのが強みです。弊社が強化するファッションとデジタルの融合を目指すにあたり、最もドライブがかかったプロジェクトがこの『NFT FREAK』といえます」
遠藤さん「新規ユーザーの獲得はもちろんですが、既存の顧客に対しても『デイトナはいつも新しいことに挑戦している』というインパクトを届けたいと思っています。すでにNFT事業を手がけているアパレル他社もありますが、なかなか話題になりづらいのが現状です。僕らはそこを変えたい」
松本さん「店舗で音楽ライブなどのエンタメイベントに参加してくださるお客さまを見ていると、『何かもっと楽しいこと、楽しい体験を!』と、服ではない要素を求めている方が本当に多い。服以外の新しい付加価値をお客さまに提供していくのも、企業としての使命だと感じています」
クリエイターが新境地を開拓できるNFTアート
第1弾「EVERT NFT」では、片桐さんとNIKO24さんの2名をピックアップ。ローンチを記念し、『FREAK'S STORE』渋谷店に併設するオープンスタジオにて10月末に10日間実施したポップアップイベントは、クリエイターとファンどうしの熱い交流の場に。そして11月14日20時に、30点を先行販売。1点¥22,000という「相場を大きく超える強気な価格設定」(遠藤さん)ながら、なんと55分で完売。販売の模様をXのスペースで実況中継し、約100名ものリスナーがリアタイ参加。ユーザーの熱量の高さに驚くとともに、非常に手応えを感じているそう。
遠藤さん「第1弾のコラボアーティストを決める前提として『世界に通用するNFTを発表したい』という気持ちがありました。特に片桐さんにはこれまでNFTと関わる機会がなかったそうなので、新たなアプローチをご提案できてよかったです」
矢野さん「NIKO24さんは、会社員を生業とするかたわらでアート活動をされてきたそうなのですが、NFTアートで発表することでファンが爆発的に増え、会社を辞めて専業アーティストとして独立できたと伺っています。**NFTがクリエイターとして自立する一助を担うなんて、とても夢のある話でいいですよね」
服と同じようにクレジットカードで買える『NFT FREAK』の楽しみ方
『NFT FREAK』では、NFTに初めてアプローチする・購入する人にもわかりやすいスキームを整えています。最も大きなメリットは決済方法。同社が運営するオンラインストア「デイトナパーク(DAYTONA PARK)」で、通常のショッピング同様、クレジットカード決済でNFTアートを購入でき、さらにデイトナパーククラブのポイントが加算されたり、さまざまな特典がついてきます。
遠藤さん「通常、NFTアートを購入するには、イーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)を持つ必要がありますが、詳しくないとハードルが高いですよね。そこで、洋服と同じ感覚でNFTアートも買っていただきたくて、クレジットカード決済できるようにしました。NFTアートを保管しておくウォレットを開設する必要はありますが、『NFT FREAK』公式サイトにわかりやすい開設方法ガイドを公開していますので、ぜひ参考にしてください。専用アプリをダウンロードしてアカウントを作れば、すぐホルダーになれますよ」
身につけるアート!? 「EVERT NFT」公式グッズも必見
「EVERT NFT」ではユーモラスな公式アパレルグッズも展開。自分の作品をユーザーのライフスタイルに気軽に取り入れられる新たなアプローチとして、アーティストサイドにも喜ばれているそう。
松本さん「クリエイター、特にアナログで創作するスタイルの方は、作品を発表する以外にユーザーにアプローチする方法にあまり詳しくないんじゃないかと思うんです。そこで、ご自身の作品を新ジャンルに展開していけるような可能性を我々がいろいろと提案したい。『NFT FREAK』への参画が、デジタル領域にもアパレル領域にもチャレンジしていただくきっかけになれば、従来にはないまったく新しいコラボレーションができるのではないかと思います」
『NFT FREAK』これからの展望は?
クリエイターにとっては、著作権を守りながら唯一無二である自身の作品を世間に届ける有効な手段として、ユーザーにとっては好きなアーティストのオリジナル作品を信頼できる証明書つきで入手できる手段として、そして運営会社にとっては有益な新規事業の一環として。NFTアートはさまざまな可能性を秘めています。
松本さん「この『NFT FREAK』プロジェクトのリーダーである加藤(利典さん/デイトナ・インターナショナル社取締役 常務執行役員 CDO)が実は大のホラー&サイバーパンク好きで、その視点が今回コラボしたアーティスト選択に影響しています。「好きだ!」という熱量が社内のスタッフを巻き込み、僕らを通してお客さまにもしっかり届いていると感じています。そうやって“好き”の連鎖が仲間を増やして、協業の座組みをどんどん広げていけたらいいですね。デザイナー・アーティスト・ミュージシャン・フォトグラファー・スタイリスト・モデルや俳優など、我々はすでにさまざまなクリエイターとつながっていて、コラボアイテムを作ったり、プロモーションツールを製作したりしてきました。そういった既存の人脈をNFTの枠組みにお誘いするのもおもしろそうだと感じています」
お金優先・ビジネス優先のイメージが先行し、一時の熱狂的なブームが急に収束したこともあって”なんだか得体のしれないもの”と警戒されがちなNFT界隈。しかし、新しい技術を駆使して新しい価値を創り出し、クリエイターにもユーザーにも大きな楽しみやメリットをもたらしつつ、新たなネットワークを形成していけそうな可能性に、NFT参入の醍醐味を感じました。『NFT FREAK』の今後をじっくりと注視していきたいと思います。
Photo: Haruka Saito Edit & Text: OKISHIMAGAZINE