日本から世界に飛び立ち、ご自身の「スキ」なライフスタイルを実現している日本人女性にフォーカス。今回ご紹介するのは、パリ在住ネイリストの友田沙代子さん。

友田沙代子さん(以下、沙代子さん)は関西でネイリストとしての経験を積んだのち、2020年にパリへ移住。シンプルなワンカラーネイルが主流なヨーロッパでは珍しい、繊細なデザインのニュアンスネイルが話題を呼び、Renard Nail(レナール・ネイル)の店名で個人ネイルサロンをオープンしました。そんな彼女のユニークな経歴やネイルアートに対する情熱、そしてパリでの生活クローズアップ。

パリに来たきっかけ

パリの北東部・19区に位置する沙代子さんのサロンにて。19区は近年クリエイティブな人々に愛され、前衛的な商業施設やコミュニティースペースが進出している注目のエリアです。

沙代子さんがパリへ渡ったのは2020年のことでした。料理人としてパリで修行をするパートナーとともに渡仏したといいます。

沙代子さん:最初に働いていたのはスピード重視で『全体的にどのアートもできますよ』というスタンスの、間口の広いサロン。そのお店はごはんを食べる暇もないほど本当に忙しかったですが、サロンワークの基礎をひととおり学び、日本のお客様が好きなものを感じ取ることができました。次に高品質を求めるお客様の多い、個人オーナーのゆったりしたサロンへ移りました。どちらのサロン経験も今の私のベースになっているものの、もともと自分が好きだったニュアンス系のデザインを作る機会はあまりなかったんですよね。パリで自分のサロンをやるようになってからは、お客様の口コミのおかげでファッション系のお仕事の方など、個性的なデザインを求めるお客様が徐々に増えていきました。今のほうがやりたいことができている感じがします。

Renard Nail

絵を描くことが得意な沙代子さんはRenard Nailのロゴもご自身でデッサンしたといいます。

沙代子さん:Renardはフランス語でキツネ。もともとはキツネが好きな夫のためにタトゥーのデザインとして描いたデッサンですが、(個人サロンとしての活動を始める際に)手を使ったデザインでネイルサロンのロゴにもぴったりだなと思い、使い続けています。

Renard Nailで特に人気を集めるデザインは、お客様のインスピレーションを沙代子さんがネイルアートに落とし込むというもの。

沙代子さん:とあるお客様から、イメージ写真をもらい『こういう感じでやって欲しいのだけど、できるかな?』と相談されたときに、その写真をネイルアートに落とし込んでみたらすごく楽しかったのです。日本で働いていたときはそういうメニューもなかったし、やったことのないことだったけれど、やりがいを感じましたね。そのことを友人に話すと『それがあなたの得意なことじゃない?』と言ってもらい、『あぁ、そうなのかもしれない』と思いました。

「発想が面白いですよね!」と言いながら沙代子さんが見せてくれた、作品のひとつ。お客様から殻付きのオイスターや黒い真珠の写真をもらい、その写真を元にデザインしたそうです。ショートネイルの小さなパレットが活きるデザインで、ちゅるんとした質感が可愛い作品です。

沙代子さん:こちらに来てから驚いたのですが、どんな職業の方でもネイルアートに制限がほとんどないんですよね。日本では企業でお勤めの方、OLさんの多くはオフィスネイルしかできないと言っていましたが、ほとんどの方が自由にネイルを楽しまれています。接客業の方、お医者さん、看護師さんでもネイルをされている方は多いみたいですね。かなり許容されているように感じます。とはいえ、私のサロンに来てくださるお客様のなかには今まであっさりしたシンプルなデザインやワンカラーしか経験されたことがない方も多く、日本の技術を体験して「すごーい!」と喜んでいただけることも多いですよ。

そんな沙代子さんが語ってくれたのは転職の経験。百貨店の子ども服販売員として勤務していた沙代子さんが転職を決意し、ネイルスクールに行き始めたのは37歳のときでした。

沙代子さん:もともと子どもの頃から絵を描くことが好きで、大学も美術系の大学に進学しました。フリーターを経て、百貨店の子ども服売り場の販売員に落ち着きました。いざやってみると面白くなってきて、15年間勤務しました。ただ、だんだんと目標とするものが見えなくなってしまって、好きだったネイリストの資格を取ることを決意しました。実際にネイルをはじめてから『やっぱり楽しい!』と感じた、あのときの直感など、自信を持っていることはたくさんあります。自分自身のキャリアについて『今からだと遅いかな』と躊躇せず、あのとき転職して本当によかったと思っていますね。

沙代子さんのON&OFFコーデ

沙代子さんにパリでのお仕事着とお休みの日のコーディネートを見せてもらいました!一着目は沙代子さんがお仕事着として愛用している、オーバーオールをメインとしたコーディネート。

沙代子さん:オーバーオールはITFA Projectという、フランスのアップサイクル・レーベルのもの。リングは東京のDisco Nailを訪れた時に購入したものや、パリのジュエリー屋さん・Guduleで見つけたものをつけています。Guduleはお客様が教えてくださった、ジュエリーの量り売りのお店。シルバーアイテムがお手頃価格で購入できるのでオススメです。

沙代子さん:オーバーオールはラクなのでお仕事着にぴったりなんです。一枚着たらすぐにコーディネートが完成するところが気に入っています。特にこれはナイロン素材のようなツルッとした質感で、ダストも払いやすいです(笑)。お仕事時には髪の毛をまとめることが多いですね。スタイリングも自分で日々変えながら楽しんでいます。

二着目は沙代子さんのお休みのときのお気に入りコーディネート。

沙代子さん:コート、パンツ、レザーのバッグはすべてルメールのもの。タビシューズはメゾン・マルジェラです。

沙代子さん:全身を
ニュートラルな色でまとめました。コートは去年に購入した、ルメールの春夏アイテムです。シャツとコートのあいだのような厚さとデザインで、羽織ものとしてもワンピースとしても着られるところが好きです。パリは朝晩と昼の寒暖差があるので、薄手の羽織があると便利だなと思い、購入しました。ルメールは着やすいし、私のスタイルにも馴染みやすいので、よくチェックしているブランドです。

おわり

沙代子さんの作品はInstagramにてチェックできます。

気になった方はぜひチェックしてみて!