ファッションの世界で頑張る女性をクローズアップし、その活躍や軌跡を辿っていく連載企画。今回は幅広い世代に愛されるブランド【ROPÉ PICNIC】でプレスを務める柚木愛理さんにインタビュー。【ADAM ET ROPÉ】ショップスタッフから株式会社ジュンの社内公募でプレスアシスタントに挑戦し、現在プレスとして活躍中の彼女。華やかなキャリアの根底には、肩の力を抜いた自分らしさがありました。楽しい方向へと自分を導くステップ、ぜひご覧ください。

おしゃれ好きの原点は靴!留学を経てアパレルの世界へ

柚木さんがファッションに興味を持ったきっかけは、幼少期に住んでいた隣町が靴の生産が盛んな地域だったこと。親戚が靴の工場を持っていたこともあり、小さい頃からその工場に通っていたのだそう。その後もおしゃれ好きが高じて、大学に通いながらアパレルでアルバイトを始めます。

「バイトは良い経験でしたが、就職活動を始める段階で、敷かれたレールに乗っているように思えてずっと違和感を感じていました。そこで大学を休学して、1年半くらいオーストラリアに留学することにしました」

オーストラリアは南半球に位置し、冬でも温暖なこともあり常にTシャツやパーカなどのラフな服装。日本のように季節ごとに服を変えたり、レイヤードを楽しむことができなかったのだそう。

「そんな中でも、日本から持ってきたお洋服や路地などで探し出したアイテムを身につけていると、街の人が褒めてくれて嬉しかったですね。日本に帰ってきてからも、オーストラリアでの経験も踏まえてやっぱりファッションが好きだと思い、この業界に入ろうと決めました」

ファッション業界の就職先を探す中で、なぜ株式会社ジュンを選んだのでしょうか。「もともと【ADAM ET ROPÉ】のお店によく通っていたので、会社を調べて株式会社ジュンに辿り着き、受けてみようと思いました」

株式会社ジュンへ入社、【ADAM ET ROPÉ】ショップスタッフに

面接を受け、見事合格。憧れだった【ADAM ET ROPÉ】のショップスタッフとして働くことに。まず配属されたのが神戸の三宮OPA店です。

「好きなブランドで働けることになってすごく嬉しかったですね。それまでは学生の時に着ていたお洋服が自分の中で一番好きで正解だと思っていましたが、働くうちに人から見た自分や、骨格など、好きなものと似合うものを考えられるようになりました」

人にアドバイスをする立場になり、自分を客観的に見ることで似合うものを勉強していきました。その中でのやりがいは「お客様とお話しながら、日常はもちろん特別な日を彩る手助けができたことです。VMDもやらせていただいて、自分でコーディネートを組んだものがお客様の目に触れて、売れていく瞬間を見たときはやりがいを感じましたね」

国内最大規模の店舗で店長として活躍

三宮OPA店では2年勤務し、そこから移転した新店舗にて1年弱勤務。その後配属されたのが、【ADAM ET ROPÉ】の店舗の中でも最大規模を誇るルクア大阪店です。

「店舗の大きさだけでなく、売り上げも人の出入りもとにかく規模が大きくて、プレッシャーもあったけど楽しかったですね」

そんなスケールの大きい店舗で手腕が買われ、柚木さんが店長に選ばれたのです。「店長になれたのも周りの方のおかげです。自分が何かに特化していることもあまりないし、器用貧乏なので、なんでも平均点というか。でも、店長になったことで一つ一つをコツコツやるっていう自分のスタイルが報われた気がしました。結局、私も周りも楽しいことが好きなんです。売り上げを取るプレッシャーでピリピリしちゃうときは、業務をちょっとゲーム化してみたり。スタッフ自身も発案してくれるおかげで、楽しくやれていたと思います」

コロナ禍をきっかけに社内公募でプレスアシスタントに応募

このタイミングで世間がコロナ禍に突入。あれだけお客様がたくさん来ていた店舗も、人の流れがどんどん減っていきました。商品の売り方もお客様の服の選び方も大きく変わっていく中、自粛ムードも徐々に落ち着いてきた2022年に、社内公募でプレスアシスタントにチャレンジすることを決意します。

「コロナ禍に入って何かできないかと思い、まずは店舗でLINEを始めたり、動画を配信したりとSNSやネットでのアプローチに力を入れるようになりました。人がぱったり来なくなった期間に、改めて顧客様を大切にして、コミュニケーションを取ることが重要だと気づいたんです。お客様の購入の仕方も変化していたので、店舗という現場以外のアプローチに興味を持ち始めて、社内公募でプレスアシスタントに応募しました」

その後、面談を経て異動が決定!プレスアシスタントとしてのキャリアをスタートします。
「異動後は間接部門という立場から、ジュンの展開する様々なブランドに関わりプレス業務を覚えていきました。主にメディアの掲載確認をしたり、スタイリストさんからのアポイントを繋いだりですが、一番大変だったのはパソコンの操作ですね。それまで触ることがなかったので、excelやwordの基本的な操作を勉強しました」

販売員とは全く違う分野で、ゼロからのスタート。プレスアシスタントをこなしていく中で、自分の役割や得意分野を見つけていきます。

「会社全体としてブランドのSNSを強化していこうという流れになり、フォロワーをどう増やすかなどSNSマーケティングのセミナーに参加して勉強しました。そのときインスタグラムのリールが盛んになり始めていた頃だったので、活用法を情報収集するなどSNSまわりのお仕事に尽力するようになりました」

その後【ROPÉ PICNIC】プレスに!お仕事内容は?

1年ほどアシスタントをした頃、【ROPÉ PICNIC】のプレスとして正式に配属。今まで【ADAM ET ROPÉ】の販売員としてやってきた中、所属ブランドが変わって環境や心境的に変わったこともあるそうで…。

「【ROPÉ PICNIC】は事業規模が大きく、CMを実施していたり、店舗も北海道から沖縄まで125店舗ほどあるブランド。なので、たくさんの人に良いと思ってもらうことや、既にある認知を新しい人へ広げるにはどうするかを考えています。購買の年齢層も25歳から45歳くらいまでと幅広いので、多くの人の心を動かす何かを仕掛ける必要があるのかなと思っています」

ブランドをよりよく見せ、PRしていくプレスのお仕事。普段はどういった仕事ぶりなのでしょうか。「日によって変わりますが、基本的にはスタイリストさんのリースに向けてプレスルームを整理したり、アポイントを取ったり、その合間にデスクワークという感じです。あとシーズンビジュアルのブランディングも行っているので、お客様に素敵と思っていただけるような企画を考えて、制作会社さんと運営進行しています」

出典:ROPÉ PICNICオフィシャルサイト
www.ropepicnic.com

様々なことを同時進行し、対応していくプレスのお仕事。様々な成功体験や出来上がったものを見たときに達成感を得られるのだそう。

「スチールやムービーの撮影では、各方面のプロの方々とお会いできることがすごくいい経験ですね。また、自分のブランドのものがドラマや雑誌に大きく載ったりすると、大きくなった子供を見る親心のような気持ちが湧いてきます」

大切なのは周りとのコミュニケーションと自分らしさ

2023年にプレスとして独り立ちしてから2年目。柚木さんが思う良いプレス像とは?

「プレスとしてのスタイリストさんなどとのコミュニケーションは、販売員が店舗でお客様と関わることに通じると思うんです。対象が変わるだけで、自分の魅力や商品の良さを伝えること、仲良くなることで信頼を築いていくことは変わらない。相手が誰であっても、コミュニケーションを大切にするという姿勢が大切かなと思います」

プレスの業務として、撮影やリース対応のほかにもブランドの顔としてスナップなどの表に出ることも多いそう。幅広い業務をするからこそ、やり方もそれぞれ。柚木さんなりのお仕事へのこだわりとは?

「自分がプレスとして表に出ているぶん、私を通してブランドを見ていただいてるような気がするんです。誰が着て、誰が発信しているかによって、ブランドの価値も変わると思うので、スナップなどで自分らしくお洋服を着ることで、【ROPÉ PICNIC】でお買い物をしようと思っていただけるきっかけになればいいですね」

スタイルのいい海外のモデルさんが着てるのも素敵だけれど、よりブランドを知ってる方が着こなすと、見え方が違ってくる。それが身近に感じ、参考になることも多いのです。そんな柚木さんが思う「自分らしさ」とはどんなものなのでしょうか。

「自分の顔立ちが、フェミニンよりはクールな感じの顔だと思うので、かっちりしすぎると近寄りがたい印象になりがちで。どこかに少し、肌見せやレースなどのフェミニンさを残したスタイルが自分らしいバランスかなと思っています」

最後にこれから【ROPÉ PICNIC】をどう成長させていきたいか、またご自身の目標を聞くと、「私はすごく楽観的で、ずっと先のことを計画するのが苦手なので、【ROPÉ PICNIC】のお洋服を魅力的に思っていただいて、今のファンのお客様を大切にしていくことでこれからのファンづくりに繋げていけたらと思っています。あと、私たちが楽しくて私たちが良いと納得するものにブランドの想いは乗るものだと感じるので、その想いがお客様に伝わっていくのかなという話をして、同僚と鼓舞しあっています。もし何かの決断に迷ったら、私たちが楽しいって思うことを常にやろうと思っています!」

ROPÉ PICNIC
オフィシャルサイト

ROPÉ PICNICオンラインショップ

ROPÉ PICNIC
オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/ropepicnic_official/

柚木さんInstagram
https://www.instagram.com/__017ari/

Photograph/芝崎テツジ
Text/石井真奈美