【日本勢】デザイン・機能・サステナ重視のコラボユニフォームがずらり
日本を代表する8人のクリエイターがプロデュースしたシグネチャーパビリオンのほか、政府・自治体・企業・団体などが出展する47棟の日本勢パビリオンでは、多くが日本人ファッションデザイナーや日本ブランドとコラボしたユニフォームをまとったアテンダントが出迎えてくれます。
【null²(ヌルヌル)】「FACETASM(ファセッタズム)」落合宏理デザイナーとコラボ
会場の中でもひときわ存在感を放つ、ブラックを基調にしたグラフィカルなユニフォーム
本万博の“目玉”とされている8棟のシグネチャーパビリオンのうち、最も人気を集めているのが、メディアアーティストの落合陽一さんがプロデュースする「null²(ヌルヌル)』。ユニフォームは、「FACETASM(ファセッタズム)」やファミリーマートのコンビニエンスウエアなどを手がける落合宏理デザイナーによるもので、“ダブル落合コラボ”が実現。和装をモダンに昇華したポケットいっぱいのチュニック(右)や、ウォータープラザ(海)に面した立地で働く人を考慮したレインポンチョ(左)などが特徴。展示内容にマッチするアートワークにも注目です。
【いのちの遊び場 クラゲ館】「MIZUNO(ミズノ)」とコラボ
クラゲのようにふわふわしたユニフォームをまとい、明るく楽しくユーモラスにゲストをアテンドする「クラゲ館」のみなさま
ジャズピアニスト・数学研究者・STEAM教育者とさまざまな肩書きを持つ中島さち子さんがプロデュースした「いのちの遊び場 クラゲ館」。海風が吹き抜ける開放的な空間で、大人も子どもも夢中になれるさまざまな遊びをアテンドするスタッフのユニフォームは、スポーツブランドの「MIZUNO(ミズノ)」が手がけました。チュニック・キャップ・ジャケット・ボトムスの素材には、汗に濡れても通気性を担保し、クーリング機能を発揮する独自開発生地「ドライエアロフロー」を採用。多様性を意識したカラフルなアートワークが映えるチュニックには、まるでクラゲの足のようにレーザーカットで何本もスリットがあしらわれており、垂らしたり結んだりと好みのスタイリングが楽しめるそう。
【Dialogue Theater -いのちのあかし-】「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」とコラボ
京都府からやってきた廃校舎を再利用した木造パビリオンと、モダンな吹き出し柄ユニフォームが不思議と調和
映像作家の河瀬直美さんがプロデュースした「Dialogue Theater -いのちのあかし-」のスタッフユニフォームは「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」が企画・デザインを担当。“対話”をコンセプトとしているパビリオンコンテンツの内容に合わせ、白い吹き出しモチーフを主役にした温かみのあるイエローのウェアが特徴です。特に、互い違いに重なり合うようなデザインをフロントの打ち合わせ部分に採用したコートジャケットは、“右と左の生地が対話をしている”ように見えてとてもユニーク! 同柄のバンダナは、ターバンのように頭に巻いたり、スカーフのように首に巻いたり、ショルダーバッグに結んだりと、スタッフの個性や気分によってさまざまなアレンジが楽しめるそうです。
【日本館】「POSTELEGANT(ポステレガント)」中田優也デザイナーとコラボ
「日本館」公式アンバサダーの藤原紀香さんとアテンダントのみなさま。黒ずくめは暑くないのかと問うと「肌にまとわりつきにくく、汗をかいてもすぐ乾くので、意外と快適です」 ©️経済産業省
「日本館」のユニフォームを手がけたのは、「POSTELEGANT(ポステレガント)」の中田優也デザイナー。“日本の美意識を纏う”をコンセプトに掲げ、伝統衣装である着物や帯をモチーフにした平面構造をもとに、リサイクル時の手間が劇的に減らせるよう、ファスナーやボタンを用いない“モノマテリアル(ひとつの素材)”にこだわって製作したそう。また、生地と身体の間がなるべく離れるパターンと、吸水速乾性に優れた環境配慮型のポリエステル素材を採用。これを着て働くアテンダントたちの快適性をいちばんに考え、暑さ対策が担保できるよう随所に工夫を凝らしたのだとか。
【大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn】小出真人デザイナー&髙島屋とコラボ
ホワイトからブルーへと美しいグラデーションを描くユニフォーム。ハット・ショルダーバッグ・スニーカーなど小物もブルーで統一
涼しげなブルーのグラデーションカラーでゲストの目を楽しませてくれる「大阪ヘルスケアパビリオン」のユニフォームは、地元・大阪を拠点に活動する小出真人デザイナーが手がけ、百貨店の髙島屋が製作。パビリオンのシンボルである“タマゴ”や、水の街・大阪を象徴する水に着想を得て、自然との調和を表す有機的な曲線フォルムで描き出した力作。ジェンダーレス・シーズンレス仕様で、好みや気候に合わせて長袖&半袖カットソー・ベスト・ワイドパンツを組み合わせて着ているそうです。
【住友館】「YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)」とコラボ
サイクリングトップをベースにデザインされたブラウンのインナーには襟をあしらい、接客スタッフとしてのフォーマル感を宿らせたのだそう ©️SUMITOMO EXPO2025 PROMOTION COMMITTEE、YOHEI OHNO
ランタンを掲げて森を体現したパビリオンをめぐり、自然と人間が共生する未来のあり方を探る方法を学べる「住友館」のアテンダントユニフォームを手がけたのは、「YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)」の大野陽平デザイナー。大野さんが得意とするウエストコンシャスなジャケット&パンツには、ペットボトルから再生した特殊⻑繊維⽤ペレット「ボトリウム(BOTTOLIUM)」と、吸熱と放熱の特性を併せ持つ温度調節樹脂「コンフォーマ」を⽤いた繊維を採⽤。靴メーカーの「アポロ(APOLLO)」と「セレナテラ(SELLENATELA)」の榎本郁栄デザイナーが協業したはきやすそうなシルバーシューズにも注目です。
【海外勢】ご当地と日本のファッションカルチャーを融合・アレンジ
学校や企業に制服文化が根づいているせいか、統一感のあるスタイルが多い日本勢と比べて、スタッフの個性を生かした比較的自由なユニフォームが特徴なのが海外勢。各国と日本、それぞれののファッションカルチャーからインスパイアされた独自のデザインに注目! 特におしゃれだと感じたのはヨーロッパのパビリオンでした。
【ベルギー館】日本の学校の制服がモチーフ!
シルクスカーフをアクセントにした個性派コーデを楽しむ気さくなアテンダントがガイドしてくれるベルギー館
ベルギー館のアテンダントユニフォームは、ベルギー出身のファッションデザイナー、ジャンポール・レスパナールさんが担当。グリーン&ホワイトを基調としたタータンチェック柄のボトムは、日本の学校の制服が着想源なのだそう。首に巻いたり腰に巻いたりとさまざまなアレンジが楽しめる大判のシルクスカーフには、ベルギーと日本の陶磁器を“金継ぎ”でつないだようなアートワークが描かれています。ちなみにソックスには、ベルギーで愛されるとご当地グルメのフリッツ(フライドポテト)のワンポイント刺しゅうがあしらわれていてとっても可愛いんです!
【ハンガリー館】優美さが光る、ペールピンクのブレザーセットアップ
端正なブレザーのセットアップを、やわらかな素材感と、ハット&スニーカーの小物づかいでほどよくカジュアルダウン。暑い時はウエストにぶら下げた赤い扇子が大活躍
民族音楽に関する展示や生演奏が大好評のハンガリー館のアテンダントユニフォームは、ファッションブランド「Elysian(エリシアン)」のデザイナー、ボーディシュ・ボグラールカさんによるもの。ハンガリーの民俗文化の造形美と、控えめながらも洗練された日本のデザイン要素の融合を目指し、彼女が得意とする流麗でエレガントなムードを存分に宿したブレザー&プリーツスカートのセットアップが特徴です。特にペールピンクとホワイトの生地が交互に配置された長め丈のプリーツスカートは、歩くたびにメロディーを奏でるように優雅に揺れて、それはそれは美しいんです!
【オランダ館】地元の老舗メーカーによる100%リサイクル可能なユニフォーム
性別や年齢を問わず、誰にでも似合うニュートラルなムードがスタイリッシュなオランダ館のアテンダントユニフォーム
光る球体(オーブ)を持って館内をめぐり、水と共生するためのさまざまな技術を発展させてきた歴史と未来を学べるオランダ館。アテンダントユニフォームは、1863年創業の企業向けファッションメーカー「Shijvens(シーベンス)」社の循環型コレクションで、100%リサイクル素材で作られています。ダークネイビーのトップス&パンツのセットアップは雄大な海、オレンジ色のベルトは地平線から昇降する太陽を思わせる配色です。和装の帯のように、さまざまな結び方をして個性を出し、気分を変えているそう。
【北欧館】「Marimekko(マリメッコ)」・「VIBAe(ヴィバ)」とコラボ
「Marimekko(マリメッコ)」のストライプシャツは、大きめサイズを選んでリラックスシルエットで着るのがアテンダントのみなさまの間でブームなのだそう
デンマーク・フィンランド・アイスランド・ノルウェー・スウェーデンの北欧5カ国からなる北欧パビリオンのスタッフユニフォームのトップスは、日本でも大人気のブランド「Marimekko(マリメッコ)」とコラボ。ハンドペイントで描かれたようなストライプ柄シャツが特徴です。また、パンツの裾からのぞくふっくらしたニュアンスカラーのスリッポンは、フィンランド発のフットウェアブランド「VIBAe(ヴィバ)」が手がけたもの。足の形に合わせてなじみながら矯正効果を持つインソールが入っていてとても歩きやすく、長時間の立ち仕事も快適なのだそう!
ほとんどのユニフォームが、ひと目でスタッフだと判別できる個性的なデザインであることはもちろん、会期終了後も再生可能なサステナブル素材を用い、着る人の快適さや機能性を考慮して作られているのが印象的でした。大阪•関西万博2025に行かれる方は、ぜひアテンダントのユニフォームにも着目してみてくださいね。
取材協力/2025年日本国際博覧会協会 取材・文/Senior Writer:OKISHIMAGAZINE