1. 『Marimekko』でお花に囲まれてブランチ
初日の朝、少しだけ高鳴る気持ちを抱きながら「ボンジョルノ」と向かったのは、毎年安定の世界観でゲストを魅了するマリメッコ。

会場に着くと、すぐに目に飛び込んできたのはカラフルなお花。2026年春夏コレクションの注目プリント「Kukasta kukkaan(クカスタ クッカーン)」が描かれた「Osteria Fiori diMarimekko」がオープンしていました。
今年はオステリア形式。花をテーマにした空間で、食事を楽しみながらブランドの世界観に浸ることができる没入型です。

カラフルなテキスタイルに囲まれ、一歩足を踏み入れると、そこはもうマリメッコ一色。テーブルも、フードも、カウンターも、カメリエーレのユニフォームまでも統一されていました。

上:いちごと花がトッピングされたカンノーロ、下:西洋わさびマヨとベンダスの卵添えアランチーノ
さっそく席について、アランチーノとカンノーロをオーダー。運ばれてきた料理も、新作の花柄プリントを彷彿とさせるカラフルなお花で彩られていて、思わず写真を撮りたくなるほど。
料理は、ヘルシンキのレストラン「Maukku」が手がけていて、小ぶりなポーションながら、シェフとマリメッコの世界観をぎゅっと閉じ込めたような可愛らしさで、食べるのがもったいないくらい(笑)。

食事だけじゃなく、新作プリントの陶器が販売されていたり、中庭でイタリア発祥のボールゲーム「ボッチェ」を楽しむ人の姿があったり、陽気な雰囲気が漂います。どこを切り取っても絵になるマリメッコの圧倒的な世界観と、新作プリントの持つエネルギーに魅せられて、朝からしっかり気分を上げてもらいました。
2. 10 コルソ コモをジャック!『MONCLER』の巨大なオクトパス
お腹を満たしたあとは、ミラノを代表するセレクトショップ、10 コルソ コモへ。

会場に近づくにつれて視界に入り込んできたのは、大迫力のオクトパス……ではなく、その触手。窓やテラスを突き破るように外へと伸びた触手が、建物そのものを巻き込むようなインスタレーションです。今年のモンクレールは、ここをジャックしてポップアップを開催。
パファー素材特有のぷっくりとした質感のおかげで、どこかクセがあるオクトパスも、不思議とポップで愛らしい。まさに、吸引力のある存在で、通りでは足を止めてスマホを向ける人が続出するほど。

そして、その触手は新作が並ぶギャラリースペースへと伸び、吸盤のついた触手がうねるように広がるユニークな空間に。今回のポップアップ「Puffy Summer」の軽やかで遊び心のあるムードが、そのまま落とし込まれた展示でした。
3. 街を歩くだけで、アートとの出会いがある
歩いていると至る所に列ができていたり、人だかりができていたり、ワクワクした感情がどこからともなくやってくるのがブレラ地区です。

左:「Still 1492」。それぞれのブロックに歴史の一部が込められた、現代のトーテムのような作品。右:Jaime Hayonによる「High Love」。真の愛を求めて手を伸ばす姿を、動物的なフォルムで表現した作品。
近距離で展示やパフォーマンスが行われているので、歩いているだけで新しい発見があるんです。予定通りに観て回るのもいいですが、ふと寄り道した先で思いがけない出会いがあるのも、このイベントの醍醐味。
4. まるで海の中!?『BUCCELLATI』の幻想空間

続いて訪れたのは、イタリアのハイジュエリーブランド、ブチェラッティ。重厚なカーテンをめくると、そこはまるで異世界。華やかな香りが充満し、ひんやりとした空気に乗って、水の中へ導かれるような浮遊感に包まれます。今回のテーマは「Aquae Mirabiles」。

奥へ進むと、ブランドを象徴する「キャビア」コレクションのシルバーウェアが並び、まるで海底の晩餐会のような光景が広がっていました。
キャビアのような小さな粒を連ねた装飾は、ブランドを代表するデザインで、すべて手作業によるものだそう。静かで、思わず背筋が伸びるような神秘的なムードのなかで、煌びやかな銀器コレクションにうっとり……。ここでもまた、気づけば空間に引き込まれていました。
5. アイコニックな「デザイン・キオスク」

スカラ座広場でふと目に入ってきたのは、ここ数年毎年出展している真っ赤な「デザイン・キオスク」。いつもの街並みが少しだけポップにシフトするのも、この期間ならではです。
6. 空気をテーマにした、『NIKE』のAir Lab
そして、この日もナイキを履いていた私にとって、やっぱり見逃せないのがナイキの「Air Lab」。会場は、ミラノ中央駅の裏にあるDropcity。旧トンネルを再開発した場所で、これまでとは明らかに空気が変わっていました。コンクリートの無機質な空間は、少しひんやりして「何が行われているの?」と、好奇心をくすぐります。

今回は「Air」がテーマ。最初のトンネル「Air Lab」では、真っ白な空間に重機のような装置が並び、まるで研究室に迷い込んだような感覚に。ここでは、空気を「見えないもの」ではなく、「素材」として扱っていました。

次の「Air Archive」では、ナイキが長年続けてきた「Air」の探究の記録を展示しています。その中にあったのが、タンとプルタブにイタリア国旗があしらわれた「Air MAX 97 ITALIA」。調べてみると、なんと日本の新幹線から着想を得たデザインで、ナイキ × イタリアと日本のつながりを感じ、ちょっぴり誇らしくなりました。

上:「Therma-FIT Air Milano」、下:「Radical AirFlow」
さらに奥の「Air Innovation」のトンネルでは、空気を纏うような革新的なウェアが並んでいて、過去から一気に未来へと飛ばされた感覚に。空気を使って温度調整ができる「Therma-FIT Air Milano」、空気の流れで身体を冷却する「Radical AirFlow」など、もはや洋服というより、空気を使った革新的なプロダクトでした。
実際に、「Radical AirFlow」を着用して走っている人を熱センサーで可視化するという実験中で、まさに「空気をコントロールする服」という発想そのものに、テクノロジーの進化を感じずにはいられませんでした。

次のトンネルでは、完成前の約100点の未公開プロトタイプが机の上にズラリ。成功したものだけでなく、失敗も含めたプロセスがみられるというのが面白いところです。

そして最後のトンネルに現れたのが、巨大なオブジェです。ぷっくりとした気泡のようなフォルムが連なった構造は、エアソールから着想を得たものだそう。内部に空洞があり、空気が流れたり分散したりする仕組みになっているそう。
来場者は空気の感触を手で確かめながら、その上に座ったり、寝転んだり。見るだけじゃ終わらない、空気を身体で理解していくような感覚。まさに研究室へやってきたような、ナイキらしいインタラクティブな見せ方でした。
7. 歩き疲れたあとは、ミラノでアペリティーボ

外に出ると、もう夕方。さすがに足も限界で、ふと見ると、アプリの歩数計は2万6千歩。このあとはアペリティーボを楽しむことに。向かったのは、今ナイトスポットとして注目の『Fiorin Fiorello Fiore』。看板もなく、少し迷いながら辿り着きました。
重厚なカーテンをめくると、真っ白な壁にオレンジやピンクの照明が映える洗練された空間。ここは、ファッションや音楽業界で活躍する4人のクリエイターが手がけたものなんだそう。
音も、ワインも、心地いい。
没入型展示の余韻に浸りながら、気づけば1日目が終わっていました。
デザインウィークDAY 2に続く。
「ミラノデザインウィーク」とは?
毎年春にイタリア・ミラノで開催される、世界最大級のデザインの祭典。郊外で行われる家具の祭典「Salonedel Mobile(サローネ)」と、街中で自由に行われる「Fuorisalone(フオーリサローネ)」。この2つを総称した呼び名。サローネは、ミラノ近郊の展示会場で、ビジネス向けに行われるのに対して、フオーリサローネは、ミラノ市内のギャラリーやショップ、公共空間などを舞台に、多様なインスタレーションや展示が行われ、一般来場者も気軽に参加できるのが特徴。この期間中、ミラノの街全体がデザインの発信地となり、世界中のクリエイターや企業が最新のアイデアを披露することができる。
Photographer & Senior Writer:Aco Hirai

