「なんで私たちばっかり?」と不満を爆発
私は、子どもを幼稚園に入れたタイミングで、近所のショッピングモール内のアパレルショップでパートを始めました。その少し後に入ってきたのが、年上のあやさん(仮名・20代女性)でした。あやさんは物静かなタイプでしたが、不満に思ったことはハッキリ口にする人でもありました。
そんなある日、突然あやさんが怒った様子で話しかけてきたのです。「私たちばっかりゴミ捨て行かされるのおかしくないですか!?」私はその言葉に少し驚きました。
というのも、私は以前にもアパレル業界の経験があり、「新人がゴミ捨てに行く」というのは自然な流れだと思っていたからです。とはいえ、あやさんはほとんど同期のような立場。 しかも年上だったため、伝え方にはかなり気を遣いました。
私はできるだけ柔らかく、「新人さんは、まだイレギュラー対応に慣れていないことが多いので、その間は先輩が売り場に残るようにしてるんですよ」と説明しました。ですが、あやさんはどこか納得していない様子でした。
私がゴミ捨てに行った結果
それから数日後のことです。たまたま、あやさんと2人だけでシフトがかぶる時間帯がありました。ゴミが溜まっていたので捨てる必要がありましたが、以前のやり取りも気になっていたため、私がゴミ捨てに行くことに。時間にしてほんの数分ほどだったと思います。
ですが、店に戻った瞬間、私は思わず目を疑いました。あやさんが年配の女性客と揉めていたのです。「えっ、この短時間で!?」と驚きながらも、状況を把握するために少し聞き耳を立てました。どうやら、女性客は以前購入した商品の不備について相談しに来ていた模様。
本来であれば、在庫がなければ近隣店舗に確認したり、再入荷予定を調べたりするのが基本対応ですが、あやさんはそれをせず、「ないです」とだけ繰り返していたのです。しかもその言い方がかなりぶっきらぼうだったため、女性客の怒りに火をつけてしまったようでした。
なんとか鎮火に成功
私は慌てて間に入り、まずは女性客に平謝りしました。「申し訳ありません、確認不足でした」そう伝えてから、すぐに在庫状況を確認。運よく、その商品は数日後に再入荷予定があることがわかりました。「入荷次第、こちらからご連絡いたします」と丁寧に説明し、なんとか女性客には納得して帰っていただけました。
しかし女性客は本社にもあやさんの対応の悪さに関してクレームを入れたようで、あやさんはエリアマネージャーからかなり厳しく注意を受けたそうです。
ようやく理解したゴミ捨ての意味
その出来事以降、あやさんの態度は少し変わりました。以前のように「なんで私ばっかり」と不満を言うことはなくなり、むしろ率先してゴミ捨てに行くようになったのです。
きっと、自分が売り場に一人で立ったことで、なぜ新人がゴミ捨てに行くのか……先輩たちがなぜ店に残っていたのか……その理由が身をもって痛いほどわかったからだと思うのです。
【体験者:20代・アパレル店員、回答時期:2017年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:タカダ ミオ
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

