実家に帰ると始まる「結婚まだ?」
私は実家に帰るたびに、家族から恒例行事のように同じセリフを浴びせられていました。「まだ結婚しないの?」「早く子ども産まないと大変だよ」
最初の頃は「はいはい〜」と軽く笑って流していましたが、帰省のたびに何度も繰り返されるうちに、少しずつ心が疲れていきました。
いつしか、「久しぶりに家族に会える!」よりも、「また言われるんだろうな」という憂うつのほうが大きくなっていたのです。
今年も開幕した実家恒例の結婚トーク
そんなある年のお正月。親戚も集まり、にぎやかにおせちを囲んでいた席で、母親がいつもの調子で言いました。「仕事ばっかりしてないで、早く結婚しなさい〜」
私は「また始まったか……」と思いながら、苦笑いを浮かべてやり過ごそうとしていました。その場には、隣で黙々とみかんを食べている弟もいました。すると突然、弟がぽつりと口を開いたのです。
空気を変えた、弟の何気ないひと言
「なんで姉ちゃんだけ毎回それ言われるの?」その瞬間、場の空気がぴたりと止まりました。弟は気にする様子もなく、さらに続けます。「俺には誰も早く結婚しろって言わないじゃん。同じ独身なのに」
親は少し困ったように笑いながら、「いや、男と女は違うのよ」と苦笑い。すると弟は、みかんを食べながらさらっとこう言いました。「姉ちゃん、普通に仕事楽しそうだし、今幸せそうだけどね」
それまで好き放題言っていた家族たちは、急に気まずそうにおせちをつつき始めたのです。
弟、人生最大のファインプレー
その日を境に、家族からの「結婚まだ?」攻撃はぴたりと止まりました。今でも、あの日の弟のひと言を忘れられません。
普段の弟は、特別こちらを気にかけてくるわけでもなく、相談に乗ってくれるタイプでもありません。でも、あのときだけは心の底から「でかした!」と思ったのでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

