職場では理解を得ているはず
私は結婚5年目で30代半ば。医療事務としてクリニックで働いており、同僚は全員年上の女性という環境でした。
私は1年前から不妊治療をしています。急な通院で遅刻や早退をすることがあるため、職場には不妊治療中であると話していました。ほとんどの同僚が出産経験があるため、みんな私の治療を静かに応援してくれているようでした。
治療経験者のお局
ただ、苦手な同僚もいました。職場のお局的存在の山下さん(仮名・50代)です。山下さんには中学生の娘が一人おり、長年の不妊治療の末に生まれたと聞いていました。同じ治療経験者なので理解があるかと思いきや、なぜか私にいつも嫌味を言ってくるのです。
その日の休憩時間も、テレビのニュースを見ながら大きな声で話し始めました。「最近は不妊治療も保険適応になったのね。安く治療ができていいわね」さらに「みんなから集めた保険料を使うんだから、頑張ってね」と言い放ちました。
今のは本当にひどいな
それを聞いて私は、うつむき、泣きそうになってしまいました。そのとき隣の部屋のドアが勢いよく開きました。出てきたのは勤務しているクリニックの院長先生。
「盗み聞きしてしまって申し訳ないが……今の話は本当にひどいな。君も治療経験者なら、言われて嬉しいことと嫌なことの区別ができるはずだろう」
ここで働かせられない
院長先生は怒った様子で続けます。「今まで患者さんへも、そのような口の利き方をしていたのか? そんな人に当院の仕事は任せられないな。これからどうするか考えてくれたまえ」山下さんは慌てて否定しますが、院長先生の怒りは一向に収まらない様子。
結局その後、山下さんは退職しました。あとから聞いた話では、山下さんが不妊治療をした頃は、まだ治療が一般的ではなく、理解や配慮がなかったため辛い思いをしたそうです。
現在、私は職場の理解を得ながら、不妊治療を続けています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:伊村 えりか
薬剤師歴12年。就業を通じて多くの人生や、悩み、奇跡などに直面し、それらを伝えるべく執筆活動を開始。職場や同世代の女性との会話をもとに、医療現場の裏側から家族の「あるある」まで、多岐にわたるテーマで執筆を手がける。子育てサイトのアンバサダーを務め、身近な視点を活かしたコラムを執筆中。

