うれしいお土産に感謝のひとこと
ある日、娘の友達・村上さん(仮名)親子を家にお招きしました。娘同士は幼稚園で仲良くしているようですが、自宅で遊ぶのは今回が初めてです。私も少し緊張しながらもとても楽しみにしていました。
村上さんからいただいた手土産は、前から気になっていたお店のケーキ。私は思わず声が弾んで、「わ〜、ここのケーキ食べてみたかったの! ありがとう!」と伝えました。純粋にうれしくて、気持ちのまま素直にお礼を言ったつもりでした。
楽しい時間と、丁寧なお礼
子どもたちは夢中で遊び、私たちもお茶を飲みながらゆっくりおしゃべりして、とても楽しい時間でした。帰り際には改めて「今日は楽しかったね。ケーキまでお気遣いありがとうね」とお礼を重ねました。「また遊ぼうね」と笑顔で見送り、私も温かな余韻に浸ってその日を終えました。
後日、耳にした“まさかの噂”
ところが数日後、別のママ友から「村上さんが“池田さんから、またケーキ持ってきてって催促された”って言ってたよ?」と聞かされ、頭が真っ白に。もちろんそんなつもりは一切ありません。どうやら「食べてみたかった」という言葉が誤解されてしまったようです。
そのときは素直な気持ちを伝えたつもりでしたが、“一緒に過ごした時間の楽しさ”よりも、“ケーキへの喜び”ばかりが村上さんの印象に残ってしまったのかもしれません。
村上さんの誤解を解きたかったけど、かえって拗れてしまいそうで……結局その件は深追いせず、以降は自宅に招くことは控えるようになりました。娘同士は変わらず仲良しなので、幼稚園や公園で会えば普通に挨拶をしています。
言葉選びの難しさ
あの出来事以来、感謝を伝える場面でも“相手にどう届くか”をしっかり考えるようになりました。嬉しさを強調するだけでなく、「一緒に過ごせて楽しかった」という時間そのものへの感謝もきちんと言葉にする、そのバランスが大切だと感じています。
ママ友との関係は難しいですが、言葉は丁寧に、距離感は少しだけ慎重に。小さな行き違いで誰かが嫌な思いをしないよう、私なりの配慮を続けていきたいと思っています。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

