いつも明るい後輩の恋愛相談
営業時代の後輩ユリちゃんは、明るくてきぱきと仕事をこなす、頼れる存在でした。当時20代後半の彼女は、周囲の友人たちが結婚ラッシュを迎えていたこともあり、「私もそろそろ結婚したい」と話していました。
プライベートでも仲が良く、月に1度は食事をして近況を語り合う仲。そんなある日、「最近よく連絡を取ってる人がいる」と、少し照れくさそうに恋の相談をしてきたのです。
惹かれた相手はまさかのあの人
その相手は、社内の別部署にいる6つ上の先輩。仕事で一緒になったことがきっかけで仲良くなり、1度だけ食事をしたあと、毎日欠かさず「おはよう」「おやすみ」と連絡をくれるほどマメな男性だそう。
私は「いい人に出会えてよかったね」と喜びつつ、気になって部署名と名前を聞いてみたのですが……何度確認しても、私の知っている“既婚者”の先輩だったのです。
真実を伝える勇気と受け止める強さ
正直、真実をユリちゃんに伝えるか迷いましたが、黙っていても彼女が幸せになれないのは明らか。「その先輩、奥さんとお子さんがいる気が……」と伝えました。
ユリちゃんは驚きつつも、「え!? そうなんですか!? 危ない、騙されるところだった! ご家族も傷つけるところでした……教えてもらえてよかったです!」とすぐに切り替えて相手を着信拒否。悲しむよりも先に、冷静に行動するその姿に私は胸を打たれました。
失恋を糧に、新しい幸せへ
自分や他人を傷つける前にきっぱり引けるあの切り替えの早さと判断力が、仕事における彼女の能力や素敵な人間性の根源にあるのだなと感心。ますます幸せになってほしいなと心の底から応援していました。
そして1年後、ユリちゃんは別の素敵な男性と結婚し、仕事でもキャリアアップを果たしました。彼女の前向きさこそ、本当の幸せを引き寄せる力だと感じました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2020年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

