プレッシャーの中で見失ったキャリアや自信
産休・育休を経て社会復帰した私は、以前より責任の重いチームリーダーとして新プロジェクトを任されました。会社では締切に追い立てられ、そんな時に子ども達も熱を出し……気づけば息をつく暇もない。ランチをゆっくりとることすら「贅沢」と感じる毎日でした。
「もう転職したい」と何度も思いましたが、周囲からは「ここを辞めたらもったいない」「他では通用しないよ」と言われ、そのたびに自信を失くしていきました。
「家族のため」の名のもとに
転職したい気持ちは募っていくものの、「家族のために今の職を続けるべきか」と自問自答を繰り返していました。結局、気持ちは整理できず、日々の業務に追われるだけで前に進めない日々。家族のことを思うほど、自分の気持ちは置き去りになっていきました。
先輩との再会がくれた気づき
そんなある日、大学時代の先輩と久々に再会しました。かつては仕事で世界中を飛び回っていた彼女は、出産を機に転職。年収は下がったものの、「今の働き方が1番自分に合ってる」と笑っていました。その穏やかな笑顔が当時の私には眩しく、羨ましく思えました。
別れ際に先輩が言ってくれた言葉が、今も心に残っています。
「子どもが生まれたってことは、“自分がいないと生きていけない人”ができたってこと。だからまず自分を大切にして、健康に、幸せに過ごしてね」
自分を大切にする勇気
その言葉で私は、“家族のため=自分を犠牲にすること”ではないのだなと気づきました。無理して笑う母より、心から笑う母のほうが家族も幸せになれる。そう思えた瞬間、ようやく転職を決意できました。
今では新しい環境に恵まれ、仕事も家庭も無理なく両立できています。「自分を大切にできる働き方」は、家族を大切にすることでもある。それを今、日々心から実感しています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2022年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

