忙しくも充実感のある楽しいアルバイト
友人のアキ(仮名・20代女性)は、リゾートホテルのフロント横にある宅配デスクでアルバイトをしていました。
大きなホテルだったため多くの荷物を扱い、仕事はとても忙しいものでしたが、人と関わることが好きなアキは、ファミリー客や海外からのお客様との会話を楽しみ、充実した日々を過ごしていました。
繰り返される理不尽なクレーム
しかし、中には困ってしまうクレームも。
ある日、アキの勤務先の物流会社を以前利用したという中年男性がやって来ました。
男性は、配達員の汗のにおいが気に入らず、荷物にも移った気がすると怒鳴り続けました。しかも、そのクレームは40分も続いたのです。
アキは真摯に耳を傾け謝罪しましたが、他のお客様の対応も滞り、迷惑がかかってしまいました。
しかも、男性は翌日も宅配デスクに現れたのです。さらに次の日も現れ、同じようなクレームを繰り返しました。
アキは楽しく働いていたアルバイトが一気につらいものに感じ、辞めることまで考え始めます。
救いとなったベテランパートさんの言葉
そんなとき、事情を知ったパートの中曽根さん(仮名・50代女性)が声をかけてくれました。「アキちゃんは悪くないよ。自分のせいじゃないのに一生懸命謝って、話を聞いたのはすごいことだよ」と優しく励ましてくれたのです。
そして、「理不尽なクレームを言う人は人生の調子が良くなくて視野が狭くなっているのかも。私はそういう人に出会ったとき『この人に良いことが起こりますように』って願うんだよ」と続けました。その言葉はアキさんの胸に深く響きました。
受け止め方の変化
中曽根さんの言葉で、アキは救われただけでなく、自分の中に新しい視点を持つことができました。理不尽なクレームを言われても、「この人にも良いことが起こればいいな」と思うことで、気持ちを客観的に整理できるようになったのです。
アルバイトを通して学んだのは、ただの接客スキルではなく、人を思いやる心の在り方でした。
【体験者:20代・女性学生、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

