田舎の店舗に転勤
Aが働いているホームセンターは、数年間隔で転勤がありました。Aはもともとは都会のホームセンターに配属されていましたが、ある時、田舎のホームセンターに異動になりました。
Aの異動先の店舗は緑が豊かな場所にあり、山道を通って通勤する従業員もいました。
その中でもいちばん遠くから通勤していたのは男性社員のBさん。でもAが出勤すると、いつも休憩室でBさんが仕事の準備を整えて新聞を読んでいました。
「Bさん、おはようございます。いつも出勤早いですよね!」と声を掛けると、
Bさんは「朝方は道が凍結していることが多いから、余裕を持って出勤しているんだ。特に山道は危ないしね」ということを教えてくれました。
Aはもともと都会っ子だったため、田舎の店舗に移ったことで新しい発見がたくさんありました。
遅刻の理由とは!?
そんなある日。Aが出勤すると、事務所にも休憩室にもBさんの姿はありませんでした。
不思議に思って近くにいた店長に「あれ、Bさんは今日お休みですか?」と聞きました。
店長も「いや、実は出勤予定なのにまだ来てないんだよね……やっぱり珍しいよね? 何かあったのかな?」と不安そうに言いました。
するとそこに1本の電話が鳴ります。電話はBさんからで、店長に繋いで欲しいとのことでした。
Bさんは「ご連絡が遅くなってしまい、申し訳ありません。少し遅刻してしまうと思います」と言い、店長が「それは構わないけど、大丈夫? 何かあったの?」と聞きました。
「実は、山道で鹿の大群が目の前を通る時に、一匹が車に突っ込んできたんです。その衝撃で、バンパーとサイドミラーが破損してしまいまして……。鹿にもダメージはあったと思うのですが、衝突後、元気に逃げて行きました」とBさんは言うのでした。
田舎ならではの出来事
「事故の衝撃もあっただろうから、今日は自宅でゆっくり休んで」と店長の指示で、Bさんはその日はお休みとなりました。
「Bさんが車で野生の鹿と衝突しているので、皆気をつけるように」と店長は従業員に注意喚起。Aは野生の鹿に遭遇したことすらなかったので、そのような事故もあるのだと衝撃を受けました。緑豊かな店舗ならではの出来事だと感じるのでした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。